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日本人が大腸がんと闘うための神器「内視鏡」の今

食生活が欧米化するとともに大腸がんの罹患率が増え、部位別がんの死因として大腸がんは女性においてはトップ、男性においては、肺、胃に続き3位という高い比率になっています(国立がん研究センターがん情報サービス)。

大腸がんの発見に向けて、まず検便による検査を行います。検便で陽性が出た場合は、「内視鏡検査」においてさらに精密な情報を得ることになります。曲がりくねった長い大腸の深部に内視鏡を差し込む大腸の内視鏡検査は、挿入するには熟練した技術が必要でした。現在、内視鏡の挿入部の硬さを変えられる機能や挿入状態を確認しながら検査できる装置などが開発され、技術が進歩しています。

今回は大腸がんの早期発見、早期治療に不可欠な内視鏡について詳しくご紹介します。
内視鏡検査

目次

「大腸内視鏡検査」に保険は適用されるのか

検査だけではない。治療にも使われる「内視鏡」

最新内視鏡事情1:飲み込むだけでOKな「カプセル内視鏡」

最新内視鏡事情2:AIを使って内視鏡検査の精度を向上

「大腸内視鏡検査」に保険は適用されるのか

大腸がんは症状が出る前に治療することで治癒の可能性が高まりますが、早期発見に力を発揮してくれるのが、大腸内視鏡検査です。内視鏡の機器や装置は進化し、苦痛を伴う内視鏡検査において患者さんの負担は少なくなりました。「思っていたより楽だった」という感想が年々増えてきました。

大腸に異変がないか調べるには、まずは健康診断で検便を受けましょう。検便で陽性反応が出た場合は、大腸内視鏡検査を受けることになります。検便で陰性であった場合でも、「便秘が酷い」「時々血便がでる」といった症状がある場合には、大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

病気が疑われる場合には、大腸内視鏡検査は保険適用が認められます。それ以外で大腸内視鏡検査を希望する場合は、健康診断のオプションとして受診することができます。大腸内視鏡検査の費用は、検査内容によって異なりますので一概にはいえませんが、保険適用だと検査だけで1万円ほど、病理検査をつけると2~3万円となります。

検査だけではない。治療にも使われる「内視鏡」

大腸内視鏡はもともと、大腸の中を観察して病変を発見する検査技術でした。しかし最近では、大腸内視鏡によって良性のポリープや初期のがんを切除する治療も行われるようになっています。

大腸がんは、大腸の粘膜に発生したがん細胞が増殖し、転移によって全身に広がります。進行度合いは、大腸の壁にどれくらい浸潤しているか、どれくらい転移が認められるかによって「ステージ」で表されますが、ステージ0もしくはステージⅠの一部で内視鏡治療が適用されます。

大腸の粘膜下層1mmにがんの浸潤が留まっていれば内視鏡手術で対処し、1mm以上浸潤している場合は、外科治療による根治を目指すといった判断が多いでしょう。ただし腫瘍の形状と医師の技術両方の側面から、ケースバイケースで判断されるため、明確な基準があるわけではありません。

治療法にはいくつか種類があり、病巣茎部に金属製の輪をかけて焼灼切除する方法や、生理食塩水で病巣を持ち上げ高周波ナイフで病変周囲の切除をする方法などもあります。いずれも内視鏡を操作しながら用いる方法です。

日本の内視鏡手術の技術レベルは高く、ステージ初期の患者さんが内視鏡手術を受けるケースは多くなってきました。また、海外から日本の医療機関へ内視鏡手術を受けに訪れる方も毎年大勢いらっしゃいます。

最新内視鏡事情1:飲み込むだけでOKな「カプセル内視鏡」

カプセル型の内視鏡を飲み込み、腸内を撮影するタイプも登場しています。2014年1月から保険適用になったことで利用する人も増えてきました。

カプセル型の内視鏡は、3cmほどのカプセルに2台のカメラが内蔵され両方向を撮影します。1秒当たり4~35枚の画像を撮影しながら腸内を通ります。錠剤を飲み込むときと同じ要領で、約8時間後には肛門から排泄されます。排泄のために下剤を用いたり、ヒマシ油を使って押し出したりという方法が取られることもあります。人によっては排泄を負担に感じることもあるかもしれませんが、新しい技術として今後利用が増えることでしょう。

 カプセル内視鏡

 

最新内視鏡事情2:AIを使って内視鏡検査の精度を向上

内視鏡検査が大腸がんの早期発見と治療のために有効であることはお伝えしました。内視鏡によって初期のポリープを切除すれば、大腸がんの罹患率を90%近く抑制し、死亡率も半減するといわれています。しかし、内視鏡検査を受けていたにも関わらず大腸がんを発症してしまうケースもあります。それは、内視鏡検査を行っていても“見逃してしまう確率が0ではないからです。

病変の形状は様々で、なかには視認性が悪い平坦な場合があります。このように人間の目では発見しにくいがんの発見を、「深層学習」によってサポートし、AIの力で発見しようとする試みが現在進行中です。

国立がん研究センターでは、数千枚のがん病変の画像データをアルゴリズムに学習させ、自動で特徴を抽出して「これはポリープ」「これはポリープではない」と判断するシステムの研究開発を進めているそうです。

内視鏡を使用して検査を行っても、検査を実施している医師の経験によって質にバラつきが出てしまうことが課題の一つでしたが、AIを利用することでベテラン医師の発見率とほぼかわらない成績を出すまでに至っています。

まとめ

内視鏡の機器や装置の技術は飛躍的に進歩し、患者や医師の負担を大幅に減らしています。現在注目されているAI導入が実現すれば、内視鏡検査の精度をさらに高めると期待されています。大腸がんは、最新の内視鏡検査で初期ポリープを切除することで死亡率が大幅に減少します。定期的に健康診断を受け、早めに発見できるよう心がけましょう。

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