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外陰がん|閉経後は特に注意

外陰がんは人口100万人あたり5~10人程度と、非常にまれながんです。しこりやただれなどがおもな症状で、進行とともに膣などの外陰部以外の部位や骨盤へ浸潤、転移します。

医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長 甲陽平

外陰がんとはどんな病気か

生殖器は、身体内部にあって生殖機能をつかさどる内生殖器(内性器)と、外からの刺激に対して生殖器を守る外生殖器(外性器)に大きく分けられます。外陰部は外生殖器に属し、大陰唇、小陰唇、陰核などがあります。外陰がんの多くは大陰唇に発生します。

外陰がんは通常、閉経後に発生し、診断時の平均年齢は70歳とされています。多くの場合はゆっくりと進行しますが、なかには増殖の速いがんもあります。進行とともに膣、尿道、肛門などにがんが広がり、骨盤部および腹部のリンパ節に転移します。

おもな症状には、しこりやかゆみ、あるいは、なかなか治らないただれ、熱感、出血などがあります。

外陰がんのほとんどは、扁平(へんぺい)上皮がんです。そのなかで、外陰部の皮膚の表面をおおう上皮内でとどまっているものを外陰上皮内腫瘍(VIN:vulvar intraepithelial neoplasia)といいます。また、まれに、扁平上皮がん以外の組織型もあります。

発生要因は明らかになっていませんが、若い女性のVINはヒトパピローマウイルス(HPV)感染が関わっているとされています。 なお、発症率は膣がんとあわせて100万人あたり5~10人とされ、まれながんです。

外陰がんの検査、診断、ステージ、生存率は?

外陰がんが疑われる場合、視診や触診とともに、コルポスコープという拡大鏡で、病変部を拡大して細かい部分を観察します。また、局所麻酔下で病変部の皮膚および皮下組織の一部を採取し、顕微鏡で詳しく調べます(生検)。これらの検査によりがんの診断を行います。がんの広がりや転移の有無を調べるには、X線検査、CT検査(胸部・腹部)、MRI検査(骨盤部)を必要に応じて行います。

外陰がんの病期分類(ステージ)は次の通りです。

[図表]外陰がんの病期分類
I期:外陰に限局した腫瘍
IA期 外陰または会陰(えいん)に限局した最大径2cm以下の腫瘍で、間質浸潤の深さが1mm以下のもの(※1)。リンパ節転移はない
IB期 外陰または会陰に限局した腫瘍で、最大径2cmを超えるかまたは間質浸潤の深さが1mmを超えるもの(※1)。外陰、会陰部に限局しておりリンパ節転移はない
Ⅱ期:隣接した会陰部組織への浸潤が、尿道下部1/3、腟下部1/3、肛門までにとどまるもの。リンパ節転移はない。腫瘍の大きさは問わない
Ⅲ期:隣接した会陰部組織への浸潤はないか、あっても尿道下部1/3、腟下部1/3、肛門までにとどまるもので、鼠径リンパ節(浅鼠径、深鼠径)(※2)に転移のあるもの。腫瘍の大きさは問わない
ⅢA期
  1. 5mm以上のサイズのリンパ節転移が1個あるもの
  2. 5mm未満のサイズのリンパ節転移が1~2個あるもの
ⅢB期
  1. 5mm以上のサイズのリンパ節転移が2個以上あるもの
  2. 5mm未満のサイズのリンパ節転移が3個以上あるもの
ⅢC期 被膜外浸潤を有するリンパ節転移
Ⅳ期:腫瘍が会陰部組織(尿道上部2/3、腟上部2/3)まで浸潤するか、遠隔転移のあるもの
ⅣA期 腫瘍が次のいずれかに浸潤するもの
  1. 上部尿道および/または腟粘膜、膀胱粘膜、直腸粘膜、骨盤骨固着浸潤のあるもの
  2. 固着あるいは潰瘍を伴う鼠径リンパ節
ⅣB期 遠隔臓器に転移のあるもの(骨盤リンパ節を含む)
  • (※1)浸潤の深さは隣接した最も表層に近い真皮乳頭の上皮間質接合部から浸潤先端までの距離とする。
  • (※2)日本癌治療学会のリンパ節規約では鼠径リンパ節に相当するものが、浅鼠径リンパ節、深鼠径リンパ節と定義されている。
日本婦人科腫瘍学会編「外陰がん・腟がん治療ガイドライン2015年版」を参考

外陰がんはⅠ期で発見、治療できれば5年生存率は90%以上、Ⅱ期でも80%以上とされています。一方、Ⅲ期では5~60%、Ⅳ期では15%程度と低くなっています。

外陰がんの治療は?

治療の第一選択は手術です。手術方法にはレーザー照射で除去するレーザー蒸散術、局所切除、広汎切除など複数あり、がんの広がりや深さ、外陰にとどまっているか、ほかまで広がっているかなど、組織型、患者さんの年齢、全身状態などにより選択されます。

鼠径部のリンパ節転移がある、または疑われる場合は、リンパ節郭清も行われます。また、がんが骨盤内の周辺臓器に浸潤している場合には、腟、子宮、膀胱、直腸、肛門を含めた摘出手術を行います。この場合は人工尿路や人工肛門の再建も併せて検討されます。なお、外陰部を大きく切除し欠損がある場合、形成外科による外陰部の再建が検討される場合もあります。

術後に尿失禁や便失禁といった後遺症がある場合は、リハビリテーションが行われます。こうした術後の影響については、事前によく主治医に確認、相談することが大切といえます。

なお、放射線治療はおもに外科手術後の補助療法として行われます。化学療法(抗がん剤)は現在、局所進行がんを対象に、放射線治療との併用で腫瘍の縮小をはかり、根治手術を行う目的で行われることがありますが、発症自体が少ないこともあり、確立した治療法は今のところありません。

まとめ

外陰がんは手術が第一選択となり、術後補助療法として放射線治療が行われる場合があります。広範囲に切除する場合は人工尿路や人工肛門による再建も同時に行われます。また、排尿や排便困難といった後遺症に対してはリハビリテーションが行われます。術後の影響については事前によく主治医に確認、相談することが大切です。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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