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子宮頸がん|原因のほとんどはHPV感染、若い世代の女性に多いのが特徴|5大がんの解説

子宮頸がんはそのほとんどがヒトパピローマウイルスというウイルス感染で起こることが分かっています。他の多くのがんに比べ、若い世代の女性に多いのが特徴で、治療においては病状とともに妊娠出産希望の有無も考慮し検討されます。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

子宮頸がんとはどんな病気か。ステージ、検査、自覚症状は?

治療について―早期ならレーザーや部分切除で完治も―

子宮頸がんの原因はほとんどがウイルス感染

子宮頸がんとはどんな病気か。ステージ、検査、自覚症状は?

子宮頸がんは、子宮下部にある子宮頸部の上皮に発生するがんです。発症数が最も多いのは40~50代女性ですが、他のがんに比べ、より若い世代(20~40代女性)にも発症が多いのが特徴です。

子宮は鶏卵程度の大きさで、洋梨を逆さにしたような形をしており、下部は腟につながっています。子宮頸がんはその子宮の入り口付近に多く発生します。なお、子宮上部の袋状になっている部分(体部)に発生するがんは子宮体がんといいます。

子宮頸がんは、正常な細胞が突然がん化するのではなく、「異形成」という段階を経てがんになります。異形成とは、細胞を顕微鏡などで観察したとき、がん化する可能性が高い状態や、良性と悪性の境目にある状態を指し、その程度により軽度、中等度、高度に分類されます。

また、子宮頸がんは組織のタイプにより、扁平上皮がんと腺がんの2つに大きく分けられます。扁平上皮がんは、上皮の内側の粘膜に発生し、子宮頸がん全体のおよそ7割を占めます。一方、腺がんは同じ上皮でも腺組織という組織から発生します。いずれも前述の通り、異形成を経てがん化します。

初期のうちは上皮にとどまっていますが、次第に子宮の筋肉へと浸潤し、腟や子宮の周囲にある他の組織に広がったり、骨盤内のリンパ節に転移したりします。さらに進行すると、膀胱や直腸、肺・肝臓・骨などに転移したりします。

自覚症状は他の多くのがんと同様、初期のうちはほとんどが無症状です。進行すると、月経以外の出血(不正性器出血)やおりもの(帯下)の増加などが見られます。がんが骨盤内の組織に浸潤すると、腰痛や背部痛といった痛みが発生することがあり、直腸や腹膜に転移すると腹膜炎などによる腹痛が起こることもあります。その他、下肢痛、血尿、血便、排尿障害が現れることもあります。

初期では無症状のため、早期発見するには定期的ながん検診が大切です。検診では細胞診といって、頸部をブラシのような器具でこすり細胞を採取して調べます。それで異常が発見された場合は、コルポスコープという拡大鏡で頸部を観察したり、生検といって疑わしい部分の細胞を採取し詳しく調べたりします。

がんと診断された場合はさらに、超音波やCT等の画像検査で病巣の広がりや大きさ、転移の有無などを調べ、ステージを確定し治療方針を決めていきます。

子宮頸がんでは、がんになる前の前がん病変と呼ばれる段階でも治療の対象となります。前がん病変には、扁平上皮がんの場合は高度異形成と、上皮内がんがあります。腺がんの場合は上皮内がんを前がん病変としています。

がんになった場合は、浸潤の深さや大きさ、広がり、転移の有無などから、Ⅰ~Ⅳ期のステージに分類されます。

[図表2]子宮頸がんのステージ
Ⅰ期 がんが子宮にのみ認められる
ⅠA期 病理組織検査でのみがんが診断できる
※浸潤の深さが5mmを超える、あるいは広さが7mmを超える時はIB1期
ⅠA1期 浸潤の深さが3mm以内
ⅠA2期 浸潤の深さが3mm以上、5mm以内
ⅠB期 肉眼で子宮頸部病変が指摘可能
ⅠB1期 ⅠB1期病変の大きさが4cm以内
ⅠB2期 病変の大きさが4cm以上
Ⅱ期 がんが腟または子宮周囲組織に広がるが、進展は高度ではない。
ⅡA期 がんが腟に進展する
ⅡA1期 病変の大きさが4cm以内
ⅡA2期 病変の大きさが4cm以上
ⅡB期 がんが子宮傍組織に広がるが、骨盤壁には達していない
Ⅲ期 がんが腟または子宮傍組織に広がり、進展が高度
ⅢA期 がんが腟の外陰側1/3まで進展
ⅢB期 がんが骨盤壁に達するまで子宮周囲組織に進展
Ⅳ期 がんが膀胱、直腸に進展するか、遠隔転移あり。
ⅣA期 がんが膀胱粘膜か直腸粘膜に進展
ⅣB期 肺、肝臓、骨盤外リンパ節などへの遠隔転移あり

治療について―早期ならレーザーや部分切除で完治も―

子宮頸がんの治療法にはおもに手術、放射線治療、薬物療法があり、病状や、妊娠希望の有無によって単独または組み合わせて行われます。

前がん病変および早期では、病変部のみを切除する円錐切除術が適応となります。また、高度異形成の段階ならレーザー等で患部を焼き治療する方法もあります。いずれも子宮は温存されます。

より進行している場合は基本的に、子宮頸部を含む子宮全体や、周辺の組織を切除する根治手術が検討されます。ただしがんが、子宮以外の組織(腟や骨盤)に広範囲に広がっていたり、他臓器に達していたり転移したりしている場合には、がん細胞が血流やリンパの流れにのって広範囲に及んでいる可能性があり手術のメリットが大きく見込めないため、手術ではなく抗がん剤や放射線での治療が検討されます。

子宮頸がんは、進行すると再発や死亡リスクが高くなりますが、早期のうちに発見し治療すれば体への負担が少なく、子宮も温存でき、完治も十分見込めます。

進行期と治療
病期 0期 Ⅰ期   Ⅱ期 Ⅲ期 Ⅳ期
Ⅰa1 Ⅰa2,Ⅰb1,Ⅰb2 Ⅱa,Ⅱb Ⅲa,Ⅲb Ⅳa Ⅳb
上皮内がん 浸潤がん
状態 がんが粘膜上皮内にとどまっている状態 広がり7mm以内深さ3mm以内

広がり7mm以内深さ

Ⅰa2:3〜5mm以内

Ⅰb1:4cm以下

1b2:4cmこえる

がんが子宮頸部をこえて傍組織または膣壁へ浸潤 がんが骨盤壁まで、または膣壁下1/3まで浸潤 がんが膀胱、直腸粘膜まで浸潤 がんが小骨盤腔をこえて広がる
治療

子宮頸部円錐切除術

単純子宮全摘手術

広汎子宮全摘手術  
放射線療法・化学療法

子宮頸がんの原因はほとんどがウイルス感染

子宮頸がんの原因は、そのほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染であることが分かってきています。

このウイルス自体は男女問わず感染しうるありふれたウイルスで、感染したとしても9割の人は、人間がもともと持っている異物を排除するシステムである免疫によって自然に排除されます。

しかし1割ほどの人は、免疫で排除されず、感染している期間が長期間に及ぶと、正常な細胞が徐々に異形となり、数年かけて前述のような異形成(前がん病変)を経て、がんを発症するのです。

インフルエンザや、風疹・麻疹といったよく見聞きする感染症には予防ワクチンが存在しますが、それと同じように子宮頸がんにも、HPVの感染を予防しがんの発症を防ぐワクチンが開発されています。現在、世界の70ヶ国以上で国のがん予防策の一環としてワクチン接種が行われていますが、日本では現在のところ、自治体による積極的勧奨は控えられています。

まとめ

子宮頸がんは前がん病変と呼ばれる段階でも治療の対象となり、レーザーや狭い範囲の部分切除で完治が見込めます。しかし他のほとんどのがんと同様、早期では自覚症状がないため、定期的ながん検診を受けることが重要です。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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