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がんを知る

Cancer

40歳代後半から増加する「卵巣がん」は静かに進行する

卵巣にできる卵巣がんは、かなりの大きさに腫れあがっても症状が分かりにくく、気づかないうちに進行しています。卵巣がんと診断されたらどのような治療法があるのかについて、卵巣がんの特徴とともに解説します。

目次

良性か悪性か判断が困難

自覚症状がほとんどなく静かに進行

卵巣がんの検診方法

進行期を知るには手術が必要

良性か悪性か判断が困難

卵巣は女性特有の臓器の中でも腫瘍ができやすい臓器です。腫瘍は・良性・境界悪性(良性と悪性の中間)・悪性に分類され、その多くは良性の「嚢腫(のうしゅ)」ですが、約10%が悪性腫瘍で、一般に「卵巣がん」と呼ばれるものです。

腫瘍のできる場所により表層上皮性腫瘍・性索間質性腫瘍・胚細胞性腫瘍に分けられますが、卵巣がんの多くは表層上皮性で、中高年に多く発症します。また、胚細胞性は、若い女性の発症が多いのが特徴です。

腫瘍が良性か悪性かを診断するのは非常に難しく、最終的には手術で組織を摘出・検査をして初めてがんと診断される場合が多くあります。

卵巣がん

自覚症状がほとんどなく静かに進行

卵巣がんは、痛みなどの自覚症状はほとんどなく、静かに進行します。卵巣がはれている場合でも、腫瘍がかなり大きくなるまで無症状のことも多いです。「少し太ったかな」「ちょっとお腹が張る」と思うことがありますが、日常における体調の変化と相違はありません。卵巣は骨盤内にありますが、骨盤は胎児を保護する空間なので広いスペースになっています。そのため、腫瘍がかなりの大きさになるまで、周りの臓器を圧迫することがないのです。

腫瘍が大きくなったり、腹水がたまったりしてからは、自覚症状があります。自覚症状としては、お腹が張る(腹部膨満感)、妊娠していないのにお腹が張り膨らんでくる、下腹部を触るとしこりがあるといったものがあげられます。そのほかにも、下腹部の痛み、頻尿、食欲の低下、体重の減少などを伴う場合もありますが、いずれも腫瘍がだいぶ大きくなっていたり、腹水がたまったりしてから表れる症状です。さらに卵巣がんが進行し、腫瘍が破裂したり、茎捻転といい腫瘍がお腹の中でねじれてしまったりして、突然強い下腹部の痛みを感じることもあります。

国立がん研究センターのがん統計によると、卵巣がんの罹患率は40歳代後半から増加を見せ、50歳代がピークとなり、その後徐々に減っていきます。全国がん(成人病)センター協議会の生存率共同調査によると、全病期(ステージ)を総合した5年生存率は61.5%となっており、これは乳がんや子宮がんに比べて低い値となっています。なお、自覚症状が乏しく、早期発見が困難なこともあり、卵巣がんの発見される病期は約半数がⅢ・Ⅳ期となっています。

卵巣がんの発生にはさまざまな要因が関与していると考えられており、すべてが解明されていません。その中でもリスク因子と考えられているものに、まず、「排卵回数が多い(=妊娠・出産が少ない)」が挙げられます。

排卵のとき、卵子は卵巣の壁を破りますが、この破れた壁を修復する過程でがん化をしているのではないかと一般的に考えられています。そうしたことから、妊娠・出産経験の少ない人や、排卵誘発剤でより多く排卵をしている人、卵巣から多くの卵が排卵される多嚢胞性卵巣症候群の人、初経が早く閉経が遅かった人などがかかりやすいと推測されています。

卵巣がんの検診方法

卵巣がんの検診は、問診を行ったあと、次のような検査を行います。

医師による内診・直腸診・内診

膣から指を入れて卵巣や子宮、膣の状態を調べます。直腸診では、肛門から指を入れて直腸やその周囲の状態を調べます。

超音波検査

体の表面に超音波を出す器具をあて、臓器で反射した超音波の様子を画像にして観察します。また、膣へ器具を入れて卵巣の状態を調べる場合もあります。

CT・MRI検査

CTはX線により体の内部を映像化するコンピュータ断層撮影、MRIは磁気共鳴画像と呼ばれる磁気による体内の画像化です。腫瘍の状態や周囲の臓器への広がり方、転移の有無などを調べます。

腫瘍マーカー

血液検査の一種です。体にがんが潜んでいると、がん特有のたんぱく質(腫瘍マーカー)が増えます。測定の結果、がんの可能性を診断します。ただし、腫瘍マーカーの数値だけでがんを確実に診断することはできません。

進行期を知るには手術が必要

卵巣は骨盤の奥深くにあるので、診察や検査だけでは、がんの診断や他の臓器への転移を正確には判断できません。多くのケースでは、開腹手術により状態を詳しく観察し、摘出した腫瘍の病理検査を行い、進行期や組織型を確定させます。

治療①手術

卵巣がんの手術は、腫瘍を摘出し、がんの病期を診断する目的で行われます。開腹手術で行われ、初回手術では可能な限りがんを摘出します。通常は両側の卵巣と卵管、子宮、大網を切除します。また、卵巣がんが転移しやすい骨盤リンパ節と傍大動脈リンパ節の切除も推奨されています。卵巣がんは、がんを取り切れたかどうかが予後に影響し、残存する腫瘍が小さければ小さいほど予後がよくなることが分かっています。また、手術後に行う薬物療法の効き目も良くなるといわれています。

治療②薬物療法(抗がん剤)

卵巣がんは病期が進んだ段階で発見されることが多いため、手術後に化学療法を行うことが大半です。また、卵巣がんは比較的化学療法が有効ながんなので、手術後に化学療法を追加するのは標準的な治療です。また、病期が初期でも、再発の危険性の高い種類のがんであった場合は、手術後に化学療法を行います。

卵巣がん

まとめ

卵巣がんは、初回の治療効果はあるものの、半数以上が再発するといわれています。治療後2年以内が多いので、予防はもちろん早期発見できるよう、定期的な外来通院、検査をし、医師としっかりコミュニケーションをとりましょう。

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