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陰茎がん|違和感を認めたらすぐに受診を

陰茎がんは国内では人口10万人あたり0.5~1人程度と、非常にまれながんです。初期のうちは無症状で、進行にともない、ただれやしこりなどの目で見てわかる異常があらわれます。しかし、そうした異常や違和感があっても受診をためらい、放置してしまいやすいのが問題です。

医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

陰茎がんとはどんな病気か

陰茎がんの検査、診断、ステージ、生存率は?

陰茎がんの治療は?

陰茎がんとはどんな病気か

陰茎がんは名前の通り陰茎に発生するがんですが、皮膚がんの一種でもあります。ほとんどの場合、陰茎では亀頭表面の表皮である重層扁平上皮から発生するとされています。

日本では10万人に0.5~1人程度と、非常に発生率が低い希少がんのひとつですが、世界には南米など10万人に10~20人と比較的発症率の高い地域もあります。

60~80代に多いといわれていますが、受診をためらい長期間放置してしまうケースも多いため、実際の好発年代はもう少し若い可能性があります。

初期には目立った症状はなく、進行とともにただれやしこり、潰瘍などが見られるようになります。なお、陰茎を含む下半身には常在菌が多く棲んでおり、がんがそれらに感染すると出血や痛み、悪臭などが起こることがあります。

ただし、感染のタイミングはまちまちで、初期のがんの段階で感染することもあれば、がんが進行してから感染することもあります。したがって、出血や痛みが起こっても、それはがんの進行度合いを示すものではありません。

また、進行すると脚の付け根が腫れる場合もあります。これは菌の感染または脚の付け根のリンパ節への転移が起こっているためと考えられます。

陰茎がんの発症要因は、おもに性器の不衛生で、包茎の場合は不衛生になりやすいため、がんのリスクが高いといえます。そのほかにも、ウイルス感染などの要因を指摘する声はあるものの、はっきりしたことはわかっていません。

早期発見のためには、陰茎に異常や違和感があったらすぐに泌尿器科を受診することが大切です。がんでなくても、感染症などの治療が必要な病気である可能性もあります。恥ずかしいからと放置せず、早めに受診しましょう。

陰茎がんの検査、診断、ステージ、生存率は?

陰茎がんが疑われる場合、組織を採取し調べる(生検)ことで、性感染症との鑑別を行います。性感染症のなかにも陰茎がんと似た腫瘍をつくるものがあるからです。しかし初期のがんの場合、尖圭コンジローマという性感染症との鑑別が難しいケースもあります。

がんの広がりや転移を調べるには、CTやMRIといった画像検査を用います。

陰茎がんのステージは次のように分類されます。

[図表]陰茎がんの病期分類
I期 がんが亀頭または陰茎の皮膚のみに発生している。浸潤や転移は見られない。
Ⅱ期 がんが上皮をこえて陰茎海綿体という組織まで浸潤している状態。二期の場合も転移は見られない。
Ⅲ期 脚の付け根(そけい部)のリンパ節に転移がある。遠隔転移はない。
Ⅳ期 そけい部のリンパ節転移のほか、骨盤内のリンパ節にも転移が見られる。ほかの臓器などに遠隔転移している。

予後については、Ⅰ、Ⅱ期では5年生存率は90%ほどといわれています。Ⅲ期でも、抗がん剤治療を積極的に行うことで40%程度の5年生存率が見込めます。しかしⅣ期では予後は大変厳しいものになってきます。

陰茎がんの治療は?

陰茎がんの治療は、Ⅲ期までは手術による切除が第一選択となります。陰茎を全切除するか、部分切除するかは病巣の大きさ等によりますが、陰茎の切除範囲が大きいほど排尿機能への影響も大きくなってしまうので、部分切除の場合はできるだけその範囲が小さくなるよう検討されます。

リンパ節への転移がある場合は、リンパ節郭清も行われ、併せて化学療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。

陰茎を全摘すると、そのままでは尿道が上を向いてしまい、排尿時に性器を清潔に保てなくなるため、睾丸と肛門の間の会陰部に尿道の出口を移動させる手術を同時に行います。これにより、尿は睾丸の真下から出るようになりますが、立位での排尿は難しいため、座位での排尿になります。

なお、患者さんの要望があれば形成外科による再建も可能です。手術で陰茎が短くなり排尿が困難な場合や、見た目で周囲から違和感を持たれないようにするといった目的での再建がほとんどです。

欧米では陰茎をできるだけ残す目的で、放射線治療も行われていますが、日本ではあまり普及しておらず、放射線治療が行える施設も限られているのが実情です。

Ⅳ期では、抗がん剤を投与し病巣が縮小すれば切除が検討される場合があります。また、原発巣(陰茎の腫瘍)だけを取り除き、排尿に影響が出ないようにするなど、生活の質を重視した治療方針がとられます。

まとめ

陰茎がんはⅢ期までは基本的に手術が第一選択となり、切除による排尿への影響など、生活の質をできるだけ落とさない方法が検討されます。早期発見のためには、陰茎に異常や違和感を認めたらできるだけ早く泌尿器科を受診することが大切です。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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