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がん治療のつらさ①…もし孤独感や不安のなかに取り残されてしまったら

今やがんは2人に1人がかかるとされ、決して特別な病気ではありません。とはいえ、いざ自分ががんと診断されると「一体どうしたらいいのか」「これからどうなるのだろう」といった不安に襲われるものです。そんなときに不安な心を打ち明け、相談できる人がいなければ、ひとりで孤独感を深めてしまうことも…。今回は、そんな不安や孤独感を軽くする「心の処方箋」についてお話しします。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲 陽平

目次

がん患者を取り巻く「さまざまな不安」

周囲にわかってもらえない不安や焦りが「孤独感」に

第三者だから話しやすいこともある

がん患者を取り巻く「さまざまな不安」

がんにかかると、精神的なショックを受けるだけでなく、今後の治療や生活について、さまざまなことを考え、決断していかなければならない場面に何度も直面します。

「自分はこれからどうなるのだろう」といった心細い気持ちから、「お金や仕事、家族の生活を、一体どうしよう」といった生活についての心配まで、あれもこれも一気に押し寄せてきて、苦しい思いをした方も多いのではないでしょうか。

また、とにかく情報を集めなければと、本を読み漁ったり、インターネットに見入ったりするものの、膨大な情報量に圧倒されて、呆然としてしまった方もいるでしょう。不安を解消したくて情報収集しているのに、集めた情報でさらに不安になってしまう…。とくにがんは、病気のなかでもインターネットをはじめたくさんの情報が世に出ていますので、そんな悪循環に陥りがちです。

不安があまりにも大きくなると、体が重だるい、頭痛やめまいがする、息苦しさを感じるといった身体症状が出ることもあります。場合によっては、不眠や食欲不振が起こることもあります。これらが長期にわたると、うつ病に至る恐れもありますので、不安を甘くみず、周囲に相談するなどで軽いうちに解消していくのが理想です。

周囲にわかってもらえない不安や焦りが「孤独感」に

しかしがん患者さんにおいては「周囲に相談する」ことがなかなかうまくいかない場合も少なくありません。

その理由として、ひとつには医療機関での診療時間が限られていることが挙げられます。がん診療連携拠点病院などの、がん治療に重点をおいている医療機関には、外来に大勢のがん患者さんが来ますので、ひとりにかけられる時間が限られます。忙しくしている医師や看護師に相談をもちかけるのも、なかなか勇気がいるでしょう。

では、家族はどうでしょうか。もちろん家族にとってみれば、大切な人ががんで苦しんでいるのですから、もちろん、できるだけのことをしたいという気持ちはあるでしょう。しかし、家族といえどもがんの専門知識があるわけではなく、どんなときにどんな対応をとったらいいのか、答えを知っているわけではありません。本人の不安を聞いてあげることはできたとしても、その不安をうまく解消してあげられるかといえば、家族も手探り状態なのではないでしょうか。そのため、「私はこんなに不安なのに、家族はわかってくれない」といった、気持ちのすれちがいが生じる場合もあります。

逆に、「家族にこんなこと言ったら負担に思われるのでは…」と、遠慮してなかなか悩みを打ち明けられない患者さんも少なくないようです。こうした心理から、孤独感が強まり、心を閉ざしてしまいやすくなるのです。

いまやがんは、2人に1人がかかる時代であり、決して特別な病気ではありません。しかし「どうして私ががんになったのか」「なぜ私だけがつらい目に遭わなければならないのか」と、落ち込んでしまう人は少なくありません。それに加え、不安があっても聴いてもらえない、あるいは言い出せないとなれば、「この気持ちを誰にもわかってもらえない」と感じることが続き、さらに孤独感が募るという、マイナスのスパイラルにはまり込みかねません。

第三者だから話しやすいこともある

では、不安や心細さを感じている患者さんはどうしたらいいのでしょうか 。

もし、がん診療連携拠点病院や地域がん診療病院にかかっていたら、病院内にある「相談支援センター」を利用するのもひとつの方法です。がんの専門知識を持ったスタッフが無料で相談にのる窓口で、がん治療でわからないことはもちろん、先に挙げたようなお金や仕事、家のことにまつわる悩みや、漠然とした不安や不調にも耳を傾け、アドバイスしてくれます。患者さんの家族からの相談も受け付けています。

設置されている病院によっては、「医療相談室」「地域医療連携室」など別の名前になっている場合もあります。また、要予約のところもありますので、事前に問い合わせをするといいでしょう。

なお、ほかの病院にかかっていても利用できますが、その場合は自分で近くの支援センターを探す必要があります(国立がんセンター情報サービスのサイトに全国の施設一覧あり)。

相談支援センター 検索ページURL
https://hospdb.ganjoho.jp/kyotendb.nsf/fTopSoudan?OpenForm

不安感が強くうつ症状が出ているなど、がん患者さんの精神面を詳しく診てくれる診療科に精神腫瘍科があります。まだ数は少ないのですが、精神的な苦痛が大きい場合は、先の「相談支援センター」に申し出ると、近くの精神腫瘍科の情報が得られます。

ただしこれらの機関は、がんの診断や治療そのものは行っていません。たとえば患者さんが「いま受けている治療以外にも、何か治療を試してみたい」といっても、それに対して具体的な治療法を提案するといったアドバイスは受けられません。

もし、新たな治療法を探していたり、がんに立ち向かうための体力や気力をもっと充実させたりしたい、という希望があるなら、がん治療を実際に行っている医療機関を「相談役」として利用するのも選択肢です。その場合、主治医を替えるのではなく、いまの治療を続けながら、さらに効果を高める治療の“上乗せ”も検討できます。

心と体は密接に関係しています。心が弱っていると体に不調が起こる一方、体が元気になれば心も上向いてくる、ということも言えるのです。

もちろん、「相談役」の医療機関は心のケアも十分できることが条件です。家族には遠慮があってなかなか言えないことも、第三者になら言える、ということはたくさんあるでしょう。具体的な治療の相談も含め、気持ちを受け止めてもらえる、そんな相談役のクリニックは、患者さんを孤独感から解放し、前向きに治療と向き合う助けになるものと思われます。

まとめ

がんにまつわるさまざまな不安や悩みごとは、もちろん主治医や家族に何でも話せればベストです。しかし実際には、なかなか難しいケースも多いように見受けられます。また、距離が近い関係ほど打ち明けにくいと感じている人もいるでしょう。そんなとき、がんの知識や適切な情報を持っている第三者の存在が助けになります。主治医とは別の「相談役」のクリニックでは、プラスアルファの治療のアドバイスも受けられる可能性があり、心身両面のサポートが期待できると思えるところがあれば、検討してみるのもいいでしょう。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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