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胃がん検診の方法と有効性

がんは発見が早いほど予後がよく、完治に導けるがんも数多くあります。 中でも、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つのがんは、検査で早期のうちに見つけやすく、かつ早期で治療すればがんで死ななくてすむ可能性がとても高いという2点を満たしており、国もがん死亡率減少を目的とした検診を推し進めています。ここでは胃がんについて、検診で用いられるおもな検査方法と有効性を解説します。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長

目次

胃がん検診はX線または内視鏡

ピロリ菌やペプシノゲン検査は、リスクを知るためのもの

  • ピロリ菌とは
  • ペプシノゲンとは

咽頭や食道も一緒に検査できる「上部消化管内視鏡検査」

胃がん検診はX線または内視鏡

胃がんは50代から増えてくるがんで、国内のがんによる死亡原因の多くを占めています。国の指針では、胃がんによる死亡を減らすことが証明されている検査方法として「胃部X線検査」または「内視鏡検査」が推奨されています。しかし現状としてはコストの関係等から、自治体で行われる胃がん検診はX線検査が主流になっています。

なお、対象年齢は50歳以上、頻度は2年に1回が推奨されていますが、こちらも自治体や職場によって40歳以上だったり、内視鏡検査の対象者が決められていたりなど、各自で条件を設けているところがあります。

[図表1]胃がん検診の流れ
胃がん検診の流れ

ピロリ菌やペプシノゲン検査は、リスクを知るためのもの

胃がんの発生要因の多くはピロリ菌感染であることや、胃がんの前段階として多くの場合、萎縮性胃炎という、胃の内壁の慢性的な炎症疾患があることがわかっています。このことから近年、これらを血液等で調べることで、将来的な胃がんリスクをはかる検査が広く行われるようになってきています。

おもなものには、少量の採血でピロリ菌感染によりできる抗体の値を調べる「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」と、萎縮性胃炎がある場合に減少するペプシノゲンという物質の量を調べる「ペプシノゲン検査」を併せて行い、それぞれの結果の組み合わせからリスク分けする「ABC検診」があります。血液検査で中性脂肪や血糖値などの他の項目と一緒に調べられるため、自治体や人間ドックなどで広く採用されています。

ただし、あくまで将来的な胃がんの発症リスクをはかるための検査であり、胃がんを見つける検査ではありません。そのため胃がん検診(国が推進するX線検査や内視鏡検査)とは区別して「リスク評価」「リスク検診(検査)」と呼ばれることもあります。胃がん発見には、内視鏡検査による精密検査が必要です。

なお、ピロリ菌感染の有無を調べる検査には、血液のほか尿や便呼気、また内視鏡で胃の粘膜を採取し調べる検査などいくつかあります。精度が高いのは呼気検査とされていますが、検査当日絶食絶飲が必要となるなど、受ける人の負担が生じるため、健康診断には血液や尿、便による検査が組み込まれることが多くなっています。

[図表2] ABC検診の判定
              A群 B群 C群 D群
ピロリ菌抗体検査
(HP抗体検査)
+ +
ペプシノーゲン法
(PG法)
+ +
胃がん発生の危険度 低 →→→→ 高
-は陰性、+は陽性。危険度(リスク)が高いと判定された場合、定期的な観察・画像検査が望ましいとされている。

-は陰性、+は陽性。危険度(リスク)が高いと判定された場合、定期的な観察・画像検査が望ましいとされている。

ピロリ菌とは

ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)は、長さ4ミクロンの細菌です(1ミクロンは1000分の1ミリメートル)。胃酸を中和するアルカリ性の物質をつくりだすことで、強酸性の胃粘膜でも生息できるという特徴があります。多くの胃がんはピロリ菌が原因で起こると分かっています。

ペプシノゲンとは

ペプシノゲンとは、胃液中に分泌されるタンパク分解酵素ペプシンの前段階の物質(前駆体)で、大きくペプシノゲンⅠ(PGⅠ)とペプシノゲンⅡ(PGⅡ)に分けられます。 PGⅠはおもに胃底腺(胃粘膜の分泌腺のひとつで、胃粘膜の大半を占める)の主細胞より分泌され、PGⅡは胃底腺のほかに、噴門腺(食道と胃の接合部に近いところにある粘膜の分泌腺)、幽門腺(胃と十二指腸の接合部に近いところに分布する分泌腺)、十二指腸腺より分泌されます。胃粘膜の萎縮が進むと胃底腺も縮小していくため、PGⅠの量の減少や、PGⅠとPGⅡの比率の変化が見られます。

咽頭や食道も一緒に検査できる「上部消化管内視鏡検査」

上部消化管内視鏡検査とは、鼻や口から内視鏡を挿入して、体の上部にある咽頭、食道、胃、十二指腸の内部を映し出し異常がないかを調べる検査です。人間ドックなどで、自費で受けられる検査(任意型検診)のひとつです。

X線検査ではなんらかの異常が見つかっても、それが潰瘍なのか、がんなのか、あるいは他の疾患なのかまではわかりません。そのため、自治体等での胃がん検診で要再検となった場合は内視鏡による精密検査が必要です。その点、内視鏡検査は粘膜表面の色調や凹凸など微細な変化を画像で詳細に観察できますので、一度の検査で微小な病変の発見にすぐれています。

さらに、上部消化管内視鏡検査では胃だけではなく、食道や食道と胃の接合部など、広範囲に調べることができます。咽頭や喉頭、食道、十二指腸などにできたがんの発見が可能であるというのが大きな特徴です。もし検査中に病変が見つかった場合、内視鏡の先につけた器具で組織を採取し、詳しい病理検査に出すこともできます。胃がん以外の上部消化管を一度にチェックしたい人にとっては、メリットの大きい検査といえるでしょう。

検査にかかる時間は、のどの局所麻酔を含めて1時間程度です。

まとめ

自治体や職場で受けられる胃がんの検診方法には大きくX線検査と内視鏡検査があります。ピロリ菌検査やペプシノゲン検査は将来の胃がんリスクをはかる手段にはなりますが、胃がんそのものを発見するための検査ではないことを覚えておきましょう。

人間ドック等で自費で受けられる検査には、のどから胃の下部まで広範囲に観察できる上部消化管内視鏡検査などがあります。咽頭や喉頭、食道など、自治体や職場の検診には入っていない部位が心配な人にはメリットのある検査といえるでしょう。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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