高活性化NK細胞療法は、がん手術後の補助療法としても期待大[3−3]
こちらのコラムは書籍 『高活性化NK細胞で狙い撃つ 究極のがん治療』より、一部抜粋してご紹介いたします。
本書は免疫細胞療法の中で、がんへの高い攻撃力を期待されている「高活性化NK細胞療法」と複合免疫療法を中心に、これからのがん治療とその効果について紹介しています。
目次
術後の補助療法としても期待大
三大療法に〝とって代わる〟療法ではない
術後の補助療法としても期待大
第1章で説明した通り、手術では目に見える範囲のがんを取り除くことはできても、目に見えないがん細胞までなくすことはできません。そのため、画像検査や手術で切除したがんの病理検査などから、体内に見えないがん細胞が残っている可能性があると判断された場合、術後の補助療法(以降、アジュバント療法)が行われます。体内に潜んでいるがん細胞をたたくために、局所であれば放射線、全身に働きかけるのであれば抗がん剤などの薬物治療を行うのです。
よほどの早期がんでない限り、手術後、再発する可能性はゼロではありません。そのため、目に見える範囲のがんをすべて切除しても「念のため、抗がん剤治療を行います」となるのです。
しかし、そこにあるがんをなくすというのとは違い、アジュバント療法にははっきりした標的がありません。そもそも、がん細胞が残っていない可能性もあります。さらにアジュバント療法が残っているがん細胞に対して無効である可能性もあり、その場合は逆に身体にとって負担でしかないことになります。それだけに受ける患者さんにとっては「今受けている術後の補助療法は効いているのかいないのか」がわからず、何年も再発におびえながら過ごさなければなりません。
アジュバント療法が目に見えないがんに対する治療である以上、治療によって完全にがん細胞が死滅したかどうかは医師にもわからないのです。少なくとも5年経ってがんの再発がなかったときにようやく、アジュバント療法が有効だったといえるのです。
治療には副作用がともないます。これで100%再発が阻止できるという保証もないまま、副作用に耐えなければならないことは、心身にたいへんなストレスがかかるといえるでしょう。
少しでも副作用を軽くできてアジュバント療法を楽に受けられるのなら、たとえ目標が見えにくい治療だとしてもより前向きになれるのではないでしょうか。その点、高活性化NK細胞療法はそれ自身副作用がほとんどない治療であり、投与後に体調が良くなったり元気が出たりといった副次的な効果も得られやすいので、薬物や放射線といった他のアジュバント療法と併用することで、それらの副作用を軽減する効果も期待できます。実際、抗がん剤と併用したところ、副作用が軽くて済み心身が楽になったという声を多数いただいています。
高活性化NK細胞療法は体の内側からがんと闘う力を引き出し、他のアジュバント療法との相乗効果で全身に潜んでいる微細ながん細胞をたたく力に優れた治療法といえるでしょう。
三大療法に〝とって代わる〟療法ではない
高活性化NK細胞療法は三大療法との併用でより高い治療効果が得られた症例を多く蓄積しています。また、三大療法をやり尽くしたケースでは次の一手として患者さんの選択肢になり得る治療法です。
しかし、高活性化NK細胞療法は、三大療法に〝とって代わる〞治療法ではありません。三大療法の中で打つ手がある場合は、それらを受けずに免疫細胞療法だけで三大療法と同じ治療効果を得ようとするのは現実的ではありません。
治療に対する考え方は人それぞれで、三大療法の中で選択肢があるとしても、患者さんご自身の価値観などから、それを受けずに免疫細胞療法だけに賭けるという方もおられます。個々のケースでそうした患者さんの意思は尊重しますが、基本的には三大療法の中で選択肢があるうちは、それらとの併用という形で高活性化NK細胞療法を検討いただきたいと考えています。
なお、今のところ、高活性化NK細胞療法は保険外治療となります。確定申告の必要がありますが、医療費控除の対象にはなります。
NK細胞を用いた免疫細胞療法は、これまで述べてきたNK細胞の性質を生かした理想的ながんの治療法といえますが、NK細胞の培養が一般的な細胞培養に比べ格段に難しいのが難点でした。T細胞の増殖や活性化の方法はある程度確立されていたものの、リンパ球の中のNK細胞を選択的に培養することが困難だったのです。
免疫細胞療法を行っている医療機関の中でNK細胞を用いた治療を中心に行っているところが少ないことも、その培養技術の難しさを物語っています。
その中で当院は、国内でNK細胞療法を実施している最古参のクリニックの一つとして、独自の培養技術の開発と改良を重ねてきました。NK細胞をより効果的に培養することが可能になったことで、これまで数多くの患者さんに高活性化NK細胞療法を受けていただくことができたのです。