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Cancer

免疫細胞療法は、様々ながんにも効果が期待[3−2]

こちらのコラムは書籍 『高活性化NK細胞で狙い撃つ 究極のがん治療』より、一部抜粋してご紹介いたします。

本書は免疫細胞療法の中で、がんへの高い攻撃力を期待されている「高活性化NK細胞療法」と複合免疫療法を中心に、これからのがん治療とその効果について紹介しています。

目次

難治がんにも効果が期待

副作用がほとんどない

難治がんにも効果が期待

免疫細胞療法の効果測定にあたっては、一般的に下記の基準を設けています。

完全寛解:画像上、腫瘍消失が4週間以上にわたってみられる場合

部分寛解:腫瘍の断面積が2分の1になった場合

不変:増大も縮小もしない期間が6カ月以上続いた場合

これらは抗がん剤治療における効果測定時の基準と同じものです。

完全寛解、部分寛解、不変の3つのパーセンテージの合計を有効率としています。全身転移に至っている末期がんの症例を含め、標準治療の治療限界を超えてしまった症例の中でNK細胞療法を行っている施設においては、およそ30%の有効率が報告されています。

また、海外における治療実績のデータを見ても概ね30%内外の報告がなされています。三大治療では打つ手がないとされた重症例が多く含まれていることを考えると、この数字は決して悪くはないといえます。余命宣告を受けた末期がんの患者さんが、この治療により完全寛解を遂げた例も、数は多くないものの報告されています。

がんの塊の中にいるがん細胞は、そのほとんどが際限なく活発に分裂するがん細胞で占められており、がんの塊がどんどん大きくなっていくのは、そういったがん細胞が分裂を繰り返しながら増えていくからです。

抗がん剤は、その細胞分裂を抑える作用があるため、活発に分裂するがん細胞に効果を発揮します。そのため、治療後は短期間でがんの塊が小さくなるということもよく見られます。

しかし、がんの塊の中には、あまり活発に分裂しない細胞がいることが最近の研究でわかってきており、この細胞はがん幹細胞と呼ばれています。がん幹細胞は、がんの親玉とも呼ばれ、自分自身のコピーはたまにしか作り出しませんが、ときどき変化して、活発に細胞分裂するがん細胞を生み出しています。しかも、がん幹細胞は活発に分裂しないため、抗がん剤の効果が期待できないという非常にたちの悪い細胞なのです。一つのがんの塊をつくっている10数億ものがん細胞の中でもたった数個しかないと考えられています。他の10数億もの細胞に比べ生命力が高く、抗がん剤もじっと耐えてやりすごします。そして時間が経つとまた増殖を始めるのです。いわゆる難治がんは、この幹細胞がしぶといために、再発や転移を繰り返しやすいとも考えられます。

 

高活性化NK細胞を含む免疫細胞療法は、がんという異常細胞の特徴を免疫細胞が見つけ出して殺傷するという考え方の治療です。

がん幹細胞も異常細胞であることには変わりありません。活性化されたNK細胞が、その「異常細胞であれば何でも攻撃する」という特性で、がん幹細胞にも攻撃をしかけることが期待できるのです。

医療法人輝鳳会ではこの高活性化NK細胞療法において5,000を超える症例の実績があり、そのほとんどが、肝臓、大腸、骨、肺、脳、食道、腹膜、リンパ節など全身に転移しており、三大療法では治療効果が見込めないとされたケースです。高活性化NK細胞療法ではこうしたケースでも、がんの縮小や、がんの進行を抑える手ごたえが得られています。

ただしこの療法では、ご自身の血液を用いますので、血液のがんである白血病とT/NK細胞系の悪性リンパ腫は、治療をお受けいただくことができません。これらを除いては、自分の免疫細胞を増やして投与することから拒絶反応や合併症の心配がないため、基本的にがん種や病状を選ばずに行える、適応範囲の広い治療法といえます。

「もう手立てがない」と宣告されてしまったとき、もっとも辛いのは患者さん本人の生きようとする力がその言葉によって失われてしまうことです。治療法がないことを受け入れ、あきらめることは、すなわち生きることをあきらめてしまうことと同じです。裏を返せば、決してあきらめないことが患者さんの生きる力を引き出します。

人間は免疫力という自分で病気を治す力を持っています。それは進行がん、難治がんであっても同じで、その力は必ず残っており、それを高めることはどのような病状の方でも可能です。がんの克服に向けてまだ打つ手はあるのです。副作用がほとんどないので、それまでの抗がん剤治療で体力が落ちている患者さんでも受けられます。末期であっても受けられる積極的な治療、それが高活性化NK細胞療法なのです。

副作用がほとんどない

高活性化NK細胞療法では、患者さん自身のNK細胞を培養して投与するわけですから、抗がん剤と違って副作用はほとんどありません。

稀に投与数時間〜1日後に37〜38度の発熱が起こる場合がありますが、あくまでも一時的なものであり1〜2日後にはおさまります。大量の免疫細胞が体内に入ったとき、一時的に免疫を活性化させるサイトカインなどの物質が放出されるためと考えられています。

副作用が少ないということは、言うまでもなく心身ともに日常生活への負担が軽いということです。抗がん剤治療を受けた方には共感いただけると思いますが、治療はがんを退治するためとどんなに自分に言い聞かせても、副作用が強いと気力が萎えてしまいそうになるものです。辛さに耐えかねて、治療を途中で休んだりやめたりなど、予定通り行えないケースも少なからず生じます。

その点、副作用がほとんどない高活性化NK細胞療法は、高齢者にも無理なく続けられますし、仕事をしながら受けている方もたくさんいます。患者さんのがんに立ち向かう気持ちを強くサポートし、精神面でもケアのできる治療法といっていいでしょう。

高活性化NK細胞療法では、副作用どころか投与後に「体調が良くなった」「元気が出た」と実感される患者さんがとても多いのも特徴です。これも治療によって自身の免疫力が底上げされていることを考えれば当然の手ごたえといえます。体調の良さや元気の程度は機械で測定できるものではありませんが、患者さんが自ら健康になろうとする力につながります。つまり、NK細胞だけでなく、がんに対抗する体内の免疫力全体が上がるのです。

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