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がんの転移&再発を防ぐ食事と栄養の摂り方

食事や栄養は、がん患者にとって重要であることはいうまでもありません。こうした情報は病院で尋ねることも大切ですが、自分自身で基本的な知識は持っておきたいものです。ここでは、がん患者が心掛けたい食事や栄養について解説します。

目次

がん患者が気をつけたい食事からの栄養摂取のポイント

[ケース別:食事の摂り方] ~手術後~

[ケース別:食事の摂り方] ~抗がん剤治療中~

がんの予防&再発防止のために知っておきたい栄養の基礎知識

日常生活の飲食で気をつけておくべきこと

  • 無理しすぎないことも大切

がん患者が気をつけたい食事からの栄養摂取のポイント

適切な食事によって適切な栄養管理を行うことは、がん治療の前・治療中・治療後においても意識したいところです。体重や体力の維持、組織の再構築、感染への抵抗などに栄養素が強く結びついているからです。

食事の大切なポイントは、「ゆっくりと、よく噛んで食べる」「食べる量は腹八分目」「重要な栄養素(ビタミン、ミネラル、たん白質、炭水化物、脂肪、水)をバランスよく摂取」といったことが挙げられます。

病状によっては、感染予防のために加熱処理された食事を摂る、塩分やタンパク質を控えた食事を摂る、食事の形状や時間を変えるなど、医師から指示がある場合もあります。状況に応じた献立や調理の方法については、主治医や看護師、栄養士に相談しましょう。

バランスの良い食事

[ケース別:食事の摂り方] ~手術後~

手術後は、傷の治癒や感染に対する防衛、体力回復などのために、普段よりも多くのエネルギーと栄養を必要とします。手術によっては、臓器のすべて、または一部を摘出する場合もあり、食べ物の摂取や消化に影響が生じることがあります。

術後の食事の注意点としては、消化の良い食材、よく煮込んだものを中心に摂るようにしましょう。量は食べ過ぎず、術後1~2カ月は、1日5~6回に分けて食べることをおすすめします。食物が急速に腸の方に移行すると、ダンピング症候群(気分が悪くなる、冷や汗がでる、脱力感が起こる)になることもあります。

腸が癒着しやすいので、消化しにくいもの(生野菜など)や、繊維の多いもの(こんにゃく類、きのこ類、海草類)は少なめにし、揚げ物や油の多い食品は、消化しづらいので少なめにしましょう。

[ケース別:食事の摂り方] ~抗がん剤治療中~

抗がん剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療中は、正常な細胞にもダメージを与えるため、全身に影響を及ぼすことがあります。副作用が発生し、食事が思うように摂れない場合もあります。

食べることが困難になったり、栄養素を吸収する能力が低下したりして、疲労感、体の衰弱、免疫力低下による感染症の発症など、さまざまなリスクを抱えることになります。

ただし、副作用の強い時期を過ぎれば食べられるようになることが多いので、あまり心配しないでよいでしょう。食べにくいときは、状態に合わせて消化の良い食事を摂るようにしますが、食べたいと思ったときにすぐに食べられるように、好きなものを手元に用意しておくと良いでしょう。

がんの予防&再発防止のために知っておきたい栄養の基礎知識

食事からの栄養摂取によって、がん細胞と戦う免疫力が生み出されます。これはがん予防を目指す人にとっても、がん治療を経験した人が再発防止を目指すためにも重要なことです。

特に意識して取り入れたい食材は、「野菜」そして特に「大豆」です。体全体の抗酸化力や肝臓の解毒機能を高め、さまざまな抗腫瘍作用(がんができにくくなる作用)が報告されています。穀物は、精製したものよりも無精白の全粒のものが、がん予防には良いと言われています。

ただし、前提として、バランスの良い献立を意識しましょう。体に良い食材や、免疫力を高める食材だとしても、そればかり食べていては意味がありません。数ある栄養がバランス良く取られている状態で初めて、一つひとつの栄養素は力を発揮するのです。それを理解したうえで、がん細胞と戦うのに効果的と言われている食事内容について見ていきましょう。

食生活のレクチャー

日常生活の飲食で気をつけておくべきこと

再発予防には体重のコントロールも重要です。適正体重よりも多い場合は、食事と運動の面からカロリーコントロールを行い、体重を落としていくことが望ましいとされています。

また、飲酒もほどほどにしましょう。節度を守ったほどほどの飲酒であれば、禁止されることはほとんどありません。男性は1日にコップ2杯程度、女性は1日にコップ1杯程度までにとどめることが、適切と言われています。

無理しすぎないことも大切

厳格すぎる食事療法が、ストレスにつながり、時にはがんの再発につながってしまうこともあります。時には好きなものを食べるなど、ほどほどの食事療法を行っていくことが良いと考えられています。

また、病気への不安、生活環境の変化、手術による後遺症や治療による副作用など、さまざまな要因によって食欲は低下します。そうした時、「がんばって食べよう」と思うあまり、食べることがつらくなってしまうこともあるかもしれません。

医師から特別な指示がある場合を除いて、無理をしないで体調に合わせて、食べられるものから食べるようにすると良いでしょう。人によっては、これまでどおり食事が摂れるようになるまでに時間がかかることもあります。あまり焦らないで、外食で気分を変えるなど、そのときの状況に応じて食べることを楽しむようにしてみてください。

まとめ

がん患者に有効な食事や栄養については、様々な情報が流れていて、中には信憑性に欠けるものもあります。迷った時は主治医に相談し、誤った情報や自分に合わないものを選択しないようにすることが大切です。 また、食べられないことでプレッシャーを感じたり、ストレスを溜め込んだりしないようにしましょう。無理せず楽しく食事ができるよう、ご自身に合った方法を見つけてください。

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