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がん専門クリニックの看護師が明かす「運動」とがん治療の関係

がん治療中は、術後の体力低下や薬の副作用でだるくなるなど、体を動かすのが億劫になりがちです。しかし一方で、適度な運動が健康に及ぼすメリットも見逃せません。本記事では、「運動」とがん治療の関係について、がん専門クリニックの看護師が解説します。

目次

肥満予防、不眠対策、免疫力アップ…運動の持つ様々な効用

無理は禁物! 「立つ」だけでも実は立派な全身運動

心地良い運動の継続は免疫力のサポート効果も

肥満予防、不眠対策、免疫力アップ…運動の持つ様々な効用

運動は、がんの有無にかかわらず、食事の見直しとともに肥満予防には不可欠ですが、がん治療中の患者さんにとって、運動は免疫力の維持向上をはじめ、体にさまざまなプラスの作用を及ぼします。そのプラスが治療の後押しとなりますので、積極的に体を動かしたいものです。

運動には、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動と、筋トレに代表される無酸素運動の2種類があります。肥満予防の観点でいえば、有酸素運動は直接的なエネルギーの消費を促し、無酸素運動は筋肉量を増やすことで、基礎代謝という、安静にしていても消費されるエネルギーを増やすことにつながります。

家でじっとしていると、ついお菓子に手が伸びていわゆるだらだら食いをし、総摂取エネルギーが増えて肥満につながりやすくなります。しかし運動を生活に取り入れるとメリハリがつき、余計な間食もしにくくなるので、太りにくい生活習慣をつくるのにもひと役買うといえるでしょう。

不眠対策にも効果的です。日中体を動かして適度な疲労感が得られれば、よく眠れることは誰でも経験的に知っていると思います。それとは別に、運動で体温を上げることで、寝付きが良くなることはあまり知られていないかもしれません。

人間は夜、体温が下がると眠りにつきやすくなります。そして、その下がり幅が大きいほど、寝付きが良くなることが分かっています。 したがって、理想としては布団に入る2~3時間前に、ウォーキングなどで体温を上げておくと、就寝するころに体温が大きく下がり、眠りやすくなるのです。

もちろん、免疫力にとっても運動は良い作用をもたらすとされています。運動をすると体温や血圧、呼吸数、拍動数などが上がりますが、これは自律神経のなかの、興奮をつかさどる交感神経が優位に立っていることの表れです。そして、交感神経が優位に立ったあとは、副交感神経の働きが活発になり、バランスを取ろうとします。

つまり、運動をしたあとの休息時にはよりリラックスした状態になり、免疫細胞の活性化が促されやすい、というわけです。

無理は禁物! 「立つ」だけでも実は立派な全身運動

運動と聞くと、汗をかいて息を弾ませなければならない、と思っている人もいるかもしれません。しかし、がん患者さんの体の状態は人それぞれであり、健康な人と同じように動ける人もいれば、起き上がるにも介助が必要な人もいます。また、人によってはひざや腰に痛みがあったり、狭心症や肺気腫など別の病気を併せ持っていたりする場合もあり、一律に同じ強さの運動をよしとすることは現実的ではありません。

実際、高齢のため家に閉じこもりがち、一日中座ってテレビを観ている、というような患者さんの場合、「無理をさせてはいけないのであれば、できる運動などないのでは?」とご家族は思うかもしれません。

そのような場合にはぜひ、1日たった3回でも良いので、「立つ」ことをすすめてみてください。立つことで、第二の心臓とも呼ばれるふくらはぎに力が入り、血流が促されますし、立つ動作によって膝や股関節を動かしますので、拘縮(固まって可動域が制限される)を防ぐことにもつながります。

それ以上できるようであれば、椅子に座った状態で、立ち座りを繰り返すとかなりの運動になります。テレビを観ながらの「ながら運動」でもOKなので手軽ですし、外へ出る必要もないので安全性も高いといえるでしょう。

ただし、ふらつきや転倒が心配な場合は、手すりにつかまりながら行うなど、アクシデントが起こらないようにすることが大事です。

心地良い運動の継続は免疫力のサポート効果も

繰り返しになりますが、運動の基本は「続けられること」です。無理をして体に痛みを抱えてしまったり、三日坊主に終わってしまったりしては意味がありません。

そして続けるためには、その運動が「心地良い」と感じられることも大切です。試合に出るためのトレーニングではなく、健康維持向上のためですから、「運動していて楽しい」「運動すると気分が良い」と、心身に対してプラスに作用する運動を選ぶとよいでしょう。もちろん、無理のない範囲であれば、テニスなどのゲーム性のあるスポーツを楽しんでも構いませんし、足腰が心配な人はプールで歩くといった運動もすすめられます。

ストレスフリーでリラックスしているときほど、免疫細胞の活性も高まります。つまり、心地良い運動は、がん治療中、治療後の免疫力のサポートにも効果的といえるのです。

がん患者さんの関心事は、どちらかといえば食事面に比重が置かれがちですが、ぜひ運動の効用にも注目して、日常生活に積極的に取り入れるようにしたいものです。

まとめ

運動は、がん患者さんにとってさまざまなメリットをもたらします。運動で自律神経のバランスが整うことにより、免疫力を高める効果も期待できます。足腰に自信のない人は、立つだけでも運動になります。無理のない範囲で、コンスタントに続けることがポイントです。

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