ステージⅣは手遅れではない! がんの進行と治療の現状
がんの進行は基本的にステージ0~ステージⅣの5段階で分類で表されます。医師からがんと診断されるときには「ステージ〇の〇〇がん」ですという言い方でった伝えられ方がされまするでしょう。
この「”ステージ“」はどのような基準で分類に判断されるものなのでしょうか。患者さんやそのご家族が医師から伝えられたときに備え、ステージについて、患者さんにとってはどのように受け止めるべきなのか取り上げて解説します。
目次
どうやって判断される? ステージ分類の方法どうやって判断される? ステージの分類の方法 ステージ進行度=生存率ではない
ステージとがん治療の考え方 ~ステージ進行度=生存率ではない~
医師とのコミュニケーション不足で誤解が生まれることも
どうやって判断される? ステージ分類の方法
がんのステージは0期からⅣ期までの5段階で分類され、ステージⅣがもっとも進行している状態です。ステージを知ることで、今後の治療目安をおおまかに把握することができます。まず、このまま治療をしない場合どのように進行するのか、「予後」と呼ばれる医学的な経過の予測を知ることができます。そのうえで、自分と同じがんの種類・進行の患者さんにはどのような治療が行われ、効果や経過はどうなのか統計的な情報を知り、治療計画に役立たせることができます。今後の治療を具体的にイメージするためにも、ステージを把握することは役立つのです。
ステージの判定はがんの種類によって異なりますが、基本的に「がんの大きさ」「リンパ節への転移の有無」「他の臓器への転移」を合わせ、総合的に判断されます。
例えば日本人に最も多い「大腸がん」では
- ステージ0:がんが粘膜内にとどまっている
- ステージⅠ:がんが粘膜を越えて筋肉層とどまっている
- ステージⅡ:がんが筋肉層を越えて浸潤
- ステージⅢ:がんがリンパ節に転移している
- ステージⅣ:がんが他臓器に転移または腹膜播種がある
というステージ分類になります。
がんの種類によっては、更に細分化された評価方法を用いたり、患者さんの年齢や体調を加味して判断されたりすることもあります。また、遺伝子の特徴や腫瘍マーカーによる分類を用いることもあり、一律に同じ評価基準で判断されるわけではありません。診断とステージの判定で疑問に思った方は、主治医に質問をしてみましょう。判定にいたった理由を教えてくれるはずです。
さらにステージごとの治療計画に関しては「大腸がん」の場合だと、上記ステージごとの治療方針は以下のように判断されることが多いとされています。
- 0期、Ⅰ期の一部→内視鏡治療
- Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期:外科手術及び手術後の抗がん剤治療、放射線治療
- Ⅳ期:対症療法、緩和手術、抗がん剤治療、放射線治療等
※参考:国立がん研究センター がん情報サービス「各種がん103 大腸がん」治療(P10~15)
ステージとがん治療の考え方 ~ステージ進行度=生存率ではない~
ステージ0やステージⅠと診断された患者さんは、外科的処置でがん腫瘍を取り除き、根治を目指すことでしょう。胃がんや大腸がんなどは、ステージⅠであれば5年生存率は90%を超えるというデータが出ています。
(参考:公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計17」全国がんセンター協議会加盟施設における5年生存率https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2017/cancer_statistics_2017_fig_J.pdf)がんは部位ごとにその性質が異なり、治療方法が異なりますが、ステージⅣであっても5年生存率が50%を超えるがんもあります。最も進行した状態である「ステージⅣ」と診断されたからといって、余命がわずかというように受け止め悲観しがちですが、ステージの数値は、あくまで病巣の進行状態を表すもので、ひとつの目安ととらえましょう。
医師とのコミュニケーション不足で誤解が生まれることも
がんのステージというのはわかりやすく、病気の進行を把握することに役立ちます。しかし、医師と患者さんの認識の違いによって誤解が生まれることもあります。
「ステージⅣ」と診断された患者さんが「末期がんと言われた…もう手遅れらしい」とショックを受けている方がいらっしゃいました。ステージⅣは進行度であり、末期がんとは異なります。
また、ステージⅠと診断された患者さんが治療後に再発して、「ステージⅠだから治ると言ったのになんで再発したんだ」と医師に激しい怒りをぶつけたという話も聞いたことがあります。
医師の伝え方と患者さんの受け取り方が上手くいっていないと誤解が生じ、信頼関係が損なわれることもあります。これは前向きに治療を行う上で、両者にとって好ましいことではありません。
ステージの判定やそれに伴う生存率といった数値は、患者さんにとってとてもセンシティブな情報です。医師も最大限の配慮を持って伝える努力はしていますが、人間と人間のコミュニケーションですから、どうしても意図していないことが伝わる場合もあるのです。
がんステージの判定を元に、今後の治療については主治医と繰り返し相談し、正しい認識のもと治療に取り組みましょう。
まとめ
以前、「生存率」についてもこのサイトで取り扱い解説しましたが、今回紹介した「ステージ」についても、あくまで目安です。その数値だけですべてが決まるわけではありません。がん種類ごとの詳細な治療方法や、過去の治療実績については、主治医から説明を受けるようにしてください。ステージⅣなど進行したがんであっても手遅れということはありません。自分の状態を認識し、できることから確実に実行していきましょう。