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主治医が信じられない…がんの治療方針に不安を感じたら、次は誰に相談すべきか?

がん治療は長丁場になることも多く、主治医への信頼感が得られないまま治療を続けるのは得策ではありません。治療方針に不安がある場合、活用を検討したいのが別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」です。この記事では、セカンドオピニオンの適切な活用方法と当院の考え方を解説します。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

「セカンドオピニオン」=「主治医を変える」ではない

免疫療法による「底上げ」が期待できる患者さんとは?

「徹底して話を聞いてくれる」医師を選ぶ

「セカンドオピニオン」=「主治医を変える」ではない

がん治療にあたっては、主治医も患者さんのことをすべて承知して説明できるわけではありません。主治医の説明に疑問や不安を抱いたら、そのままにせず、まずは納得いくまで質問をすることが大切です。それをせずに、「よく分からなかったから、別のところでもう一度診てもらおう」では、時間の無駄になってしまいます。

しかし、主治医に尋ねてみても納得のいく返事を得られず、少なくともその時点では「信頼してお任せする」というところまで気持ちが固まらなければ、別の医師の意見を聴く=セカンドオピニオンを活用してもいいでしょう。

また、主治医が信じられないという理由でなくても、セカンドオピニオンが有用な場合があります。

がんの標準治療にはガイドラインがある一方で、「手術の実績が豊富」「高精度の放射線照射機器を導入している」など、医療機関ごとの特色も存在しています。「主治医からは手術をすすめられたが、放射線治療も考えたい」といったように、具体的な希望があれば、その分野に強い医療機関へセカンドオピニオンを求めると治療の選択肢が拡がる可能性があります。

ここで注意したいのが「セカンドオピニオン」=「主治医を変える」ではないことです。

セカンドオピニオンとは、主治医以外の医師の意見を聴いて、患者さん自身が治療方法を決めるために役立てるものです。セカンドオピニオンでは治療や検査などは行わず、患者さんが持参したそれまでの資料をもとに医師が意見を述べるというもので、公的保険は使えず自由診療となります。昨今は「セカンドオピニオン外来」を設けている病院も増えてきました。多くは予約制で、30分ないし1時間ごとに相談料が設けられています。

セカンドオピニオンが主治医と違う意見だった場合でも、一度今の主治医のところに戻るのが原則です。セカンドオピニオンの結果を主治医に説明し、それに対する主治医の意見をもらったうえで、どちらで治療をするか患者さん自身が決め、転院する場合には必要な手続きを取る、という流れになります。

自分の思いどおりの治療法を提示してもらえるまで医者を変え続ける、というのはセカンドオピニオンの正しい利用法ではありませんので、注意しましょう。

免疫療法による「底上げ」が期待できる患者さんとは?

セカンドオピニオンを受ける先として、一般的には、自身が患っているがんの治療実績が多い病院を選ぶことが推奨されます。

自由診療のクリニックでは、セカンドオピニオンという形では相談を受け付けていないところもあります。当院もその1つです。免疫療法は、がん種を問わずに行えるのが大きな特徴ですが、反面、胃がんなら胃がんの、肺がんなら肺がんの、といったがん種に応じた治療には対応していないため、主治医と同じ立ち位置での意見が提供できません。そのため、医療機関によってセカンドオピニオンの相談を受けることができる、できないの差が生じます。

自由診療によるがん治療は、原則的には、他の医療機関でがんと診断されている人が対象となります。そのため、その医療機関で、既に手術や放射線、抗がん剤といった標準治療を受けており、経過観察を続けている方がほとんどになります。

なかには、体力がない、副作用がつらいなど、さまざまな理由で抗がん剤治療を中止、あるいは最初から採用できない方もいますし、治療を終了した方もいます。いずれも免疫力の低下が背景にあると考えられますので、免疫療法による底上げが期待できるといえます。

その場合、初回来院時に十分なカウンセリングをさせていただき、お一人おひとりに適していると考えられる治療を提案させていただくといった形になります。

一方で、副作用を必要以上に怖がり、標準治療を受けようとせず、免疫治療を受けてみたいという患者さんもいらっしゃいます。その場合、まずはご自身の患っているがん専門の主治医を持つこと、そして体力などの問題がなく、標準治療の適用範囲になるのであれば標準治療を受けられることを強くおすすめしています。

「徹底して話を聞いてくれる」医師を選ぶ

当院の場合、免疫、免疫療法に関して高い専門性を持つクリニックとして、患者さん一人ひとりのこれまでの治療経緯を十分にお伺いしたうえで、今の治療と併用できる方法や複合的な治療法などを、状況に合わせてご提案できるように努めています。

そのため、初回の患者さんには医師が直接カウンセリングさせていただき、今のご体調のお悩みなどを丁寧に伺いながら、免疫力をサポートし、好ましい状態につながる治療をご提案していきます。

患者さんの状況によって、当院で行っていない治療法に可能性があると思われる場合は、その情報をお伝えしたり、近隣のクリニックをご紹介したりすることもあります(あくまでも選択肢のご提供となりますので、最終的なご判断は患者さんご自身にお願いしております)。

医師が直接カウンセリングすると聞いて、患者さんのなかには「こんなことはお医者さんに言ってはいけないのでは…」とためらわれる方もいらっしゃるようですが、遠慮は不要です。

一見、他愛ないと思われるような会話だとしても、そこから治療につながる糸口が見つかる可能性もあるのです。例えば、抗がん剤の副作用一つとっても、その内容や症状の出方によって、免疫療法の中身や望ましい頻度などが変わってきます。当院に限らず、「徹底してお話を聞く」をモットーにしている医師を選ぶことを強くおすすめします。

まとめ

セカンドオピニオンを求めることは、治療について理解や納得を深める機会になるとともに、治療の選択肢が拡がる可能性もあります。当院では、カウンセリングという形で、お一人おひとりに合った免疫療法の提案を行っています。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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