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放射線治療の副作用を知る…免疫療法の「併用」がなぜ有効なのか?

手術、薬物療法(抗がん剤治療)と並ぶ、がんの3大治療法の1つが放射線治療です。個人差はありますが、放射線治療にも「副作用」の問題は存在します。この記事では、放射線治療の主な副作用と、免疫療法を併用することで期待されるメリットについて解説します。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

がんの放射線治療の歴史はすでに100年以上

放射線治療の「急性期」と「晩期」による副作用の違い

免疫療法と放射線治療を「併用する」メリットとは?

がんの放射線治療の歴史はすでに100年以上

放射線は自然界にも存在するものですが、医療においては人工的にある種の放射線を作り出して、診断や治療に利用します。放射線治療は、手術、薬物療法と並んで、がんの3大治療法の1つとなっており、単独で行われることも、手術や薬物療法と併用されることもあります。

放射線治療は、手術と同様、患部の局所に対する治療です。体の外からがん病巣へ放射線を照射する外部照射と、放射性物質をカプセルなどに閉じ込めて体内に入れ、がん病巣に照射する内部照射とがありますが、ほとんどのがんに対しては外部照射で放射線治療が行われます。

放射線をがん細胞に照射すると、細胞の染色体の中にあるDNAが傷つき、細胞そのものを死に至らしめます。また、放射線はがん細胞内に、DNAを傷つける活性酸素を発生させるよう作用します。

がんに対する放射線治療はすでに100年以上の歴史があり、電子線、陽子線、重粒子線など、放射線と一口にいってもさまざまな種類があります。

放射線を照射する機器も発展を遂げており、体の中にある限られたエリアのがん病巣にターゲットを絞って照射し、周囲の正常な細胞へのダメージを極力抑えるようにするため、がん病巣に放射線が達したときに、エネルギーが最大になるようにしたり、多方向から病巣へ集中して照射したりするなど、さまざまなアプローチで正常組織へのダメージを少なくしながら治療効果を高めるよう工夫された機器が登場しています。

放射線治療の「急性期」と「晩期」による副作用の違い

とはいえ、放射線治療においても「副作用」の問題はつきまといます。

正常な細胞は、放射線でダメージを受けても数時間程度で修復する能力を備えています。しかし、がん細胞は正常細胞よりも回復力が低い(=回復が遅い)ので、回復する前に次の照射を繰り返していくことで修復不可能となり、死に至ります。こうした正常細胞とがん細胞の回復力の違いを利用して行うのが放射線治療です。

しかし、がんの腫瘍中にも正常な組織が含まれていることがありますし、がんのある場所を正常な組織が取り巻いているケースも多く、正常な細胞にまったくダメージが及ばないわけではありません。抗がん剤の場合は副作用の出る範囲が全身にわたるのに対し、放射線治療では主に照射した部位とその周辺に表れます。

放射線治療の副作用は、「照射後短期間で出るもの(急性期)」と「照射後しばらく経ってから出るもの(晩期)」の2つに分けることができます。それぞれ、照射する部位によって実際に出る可能性のある副作用も違いますが、ここでは代表的なものを挙げます。

急性期の主な副作用としては、まず皮膚症状が挙げられます。被曝のリスクを最小限に抑えるとはいえ、皮膚を通って照射される以上、皮膚の変色やひきつれ、脱毛などの副作用が表れやすくなります。

主に腹部への照射の場合、胃や腸管の粘膜が荒れるため、食欲不振や吐き気、下痢が起こることがあります。口の中や喉に照射すると、口内のかわきや口内炎ができやすくなります。

晩期に表れる主な副作用には、消化管の出血があります。これは一時的な食欲不振や吐き気とは別に、腸管の粘膜に傷がつき、これが潰瘍となってなかなか修復されないことで起こる可能性が高くなるものです。急性期の副作用が時間の経過とともに回復するのに対し、こうした晩期の副作用は、回復に時間がかかる傾向があります。

また、治療後数年経ってから、放射線治療を行った場所にがんが発生する「放射線発がん」の可能性もあります。これらの晩期の副作用は常に起こるものではありませんが、治療後数年にわたって経過観察を行う必要があります。

免疫療法と放射線治療を「併用する」メリットとは?

1つは、単純に放射線治療後で落ちてしまう免疫力を免疫療法でバックアップできるということです。そしてもう1つは、治療後の再発予防や残存腫瘍の抑制が期待できることです。実は2つ目の効果は、放射線治療の「アブスコパル効果」で説明できます。「アブスコパル効果」とは、放射線をがん組織に照射して治療を行うと、不思議なことに、放射線が当たっていない遠方にあるがんも縮小する、という効果を指します。放射線照射で破壊されたがん組織から出たがんの目印(がん抗原)を免疫細胞が認識するようになって、ほかの場所にあるがん細胞を探し出して殺してしまうためだということが分かっています。つまり、免疫療法と放射線治療の併用がアブスコパル効果を引き起こす、または増強してくれることが期待されるわけです。

早期のがんでは、手術と放射線治療で画像上はがん組織をすべてなくすことができ、抗がん剤が不要というケースもあります。しかしそれでも、目に見えないレベルの微細のがん細胞が残っているかどうかまでは確認できないため、再発・転移の可能性はゼロとは言い切れません。そのような場合、患者さんのなかには「何もしなくてもいいのだろうか」と不安になる方が少なくないようです。そんなとき、免疫療法を受けておくことで、先に挙げたような「何も治療を受けないことへの不安」も緩和されることと思います。

まとめ

放射線治療後に免疫療法を受けることによって、低下する免疫力のバックアップ、再発転移予防及び残存腫瘍の抑制効果が期待されます。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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