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腎臓がん|分子標的薬などで手術以外の治療も選択肢に、予後の向上にも期待

腎臓がんは50~70代に多く、喫煙や肥満、化学物質などがリスク要因になります。がん特有の自覚症状はなく、人間ドック等での腹部超音波検査で偶然みつかったり、転移してから検査をした結果、腎臓がんであったことが後からわかったりということが少なくありません。進行すると血尿や腹部のしこりなどがあらわれることもあります。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

腎臓がんとはどんな病気か。原因、自覚症状、検査、ステージは?

治療は手術を基本とし、分子標的薬や免疫療法の検討も

新薬の登場も。腎臓がんに対する免疫療法とは

腎臓がんとはどんな病気か。原因、自覚症状、検査、ステージは?

腎臓はおもに血液中の老廃物を濾過し、尿をつくる役割を持つ臓器で、尿をつくる腎実質とその尿が集められる腎盂とに大きく分けられます。腎臓がんにはおもに腎実質にできる腎細胞がんと腎盂にできる腎盂がんがありますが、腎臓がんの大半は腎細胞がんです。一般的に腎がんという場合は腎細胞がんを指しています。

腎臓がんは50~70代に多く発症し、男性の方が女性よりもやや多い傾向にあります。おもな発症リスクは喫煙で、喫煙者では腎臓がんの発生率が非喫煙者の約2倍とされています。ほかには肥満、アスベストやカドミウムなどの化学物質の関連も指摘されています。なお、特定の遺伝性疾患がある人や、血液透析を受けている人で後天性腎嚢胞症を起こしている人もリスクが高いとされています。

腎臓がんに特有の自覚症状はなく、進行してから血尿、腹部のしこりや脇腹の痛み、食欲不振などがあらわれる場合があります。肺や骨などに遠隔転移を起こして検査を受けた結果、腎臓が原発だったことがあとからわかることも少なくありません。

近年は人間ドック等で腹部の超音波検査を受けた際に偶然見つかるケースも増えています。超音波検査だけでは診断が確定しないため、疑わしい所見がある場合はCTやMRIといった画像検査を行います。それでも診断が難しいケースでは組織の一部をとって調べる生検も検討されます。なお、併せて腎臓機能を調べるための血液検査や尿検査も行われます。

がんと診断された場合は、上記の検査法でがんの大きさや広がり、リンパ節転移や遠隔転移の有無などを調べ、病期が決定します。腎臓がんの病期はⅠ~Ⅳの4つに大きく分けられます。

腎細胞がんの病期(ステージ)分類
N0N1N2N0〜N2
M0M0M0M1
T1
T2
T3
T4
参照:日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編「泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約 第4版(2011年)」(金原出版)

Tは原発腫瘍(primary Tumor)、Nは所属リンパ節(regional lymph Nodes)、Mは遠隔転移(distant Metastasis)を意味します。

腎細胞がんの進展度
T1a: 腎細胞がんの直径が4cm以下で腎臓にとどまっている
b:腎細胞がんの直径が4cmを超えるが7cm以下で腎臓にとどまっている
T2a: 腎細胞がんの直径が7cmを超えるが10cm以下で腎臓にとどまっている
b: 腎細胞がんの直径が10cmを超えるが腎臓にとどまっている
T3a: 腎細胞がんが腎静脈または周囲の脂肪組織まで及んでいるが、ゲロタ筋膜(※)を越えない
b: 腎細胞がんが横隔膜より下の大静脈内に広がっている
c: 腎細胞がんが横隔膜の上の大静脈に広がる、または大静脈壁まで及んでいる
T4腎細胞がんがゲロタ筋膜を越えて広がる(同じ側の副腎まで及んでいる場合を含む)
N0所属リンパ節への転移なし
N1所属リンパ節に1個転移あり
N2所属リンパ節2個以上転移あり
M0別の臓器に転移なし
M1別の臓器に転移あり
参照:日本泌尿器科学会・日本病理学会・日本医学放射線学会編「泌尿器科・病理・放射線科 腎癌取扱い規約 第4版(2011年)」(金原出版)
※ゲロタ筋膜:腎臓を覆っている一番外側の膜

治療は手術を基本とし、分子標的薬や免疫療法の検討も

腎臓がんの治療には、大きく手術、放射線治療、薬物療法があり、ステージや全身状態などを考慮し検討されます。基本的には、手術による切除が第一選択になりますが、がんが小さい場合は局所療法といって、病巣部をラジオ波で焼灼したり、凍結したりといった治療法もあります。これらは行っている施設と行っていない施設があります。

なお、がんが大きい場合も、手術の負担を減らす目的で、術前に病巣を小さくするための局所療法が検討されます。動脈塞栓術といって、腎臓に血液を送っている腎動脈を人工的に塞ぐことで、がんへの血流を途絶えさせる方法です。

手術には大きく分けて、病巣およびその周辺のみを切除する部分切除術と、臓器を摘出する腎摘除術があります。部分切除術は4㎝以下の小さながんがおもな適応ですが、がんの位置によってはできない場合もあります。

腎摘除術では、がんができた方の腎臓を摘出しますが、通常は残ったもう片方の腎臓で機能を補えるとされています。しかし自分の腎臓のみでは生命維持が難しい場合には、人工透析を行うことになります。

薬物療法は、がんが進行していたり転移があったりする場合に検討されますが、抗がん剤(化学療法)は腎臓がんではあまり治療効果が見込めないとされており、おもに「免疫療法」と「分子標的治療」の2つの治療法が検討されます。

放射線治療は、脳や骨などに転移がある場合に、痛みなどの症状を抑えるために使われることがあります。

腎臓がんに対する新薬や免疫療法の登場

腎臓がんは長年、手術以外の有効な治療法に乏しいといわれてきましたが、近年は分子標的薬や新しい免疫療法が登場し、治療の選択肢が広がってきました。

分子標的薬は切除不能、または転移のある腎がんを適応とする薬で、チロシンキナーゼ阻害薬(がん細胞の増殖を促進する特定の分子を標的にする)とmTOR阻害薬(がんを栄養するためにできる異常な血管(新生血管)をつくらせないようにする)の大きく2種類あります。

腎臓がんに対する免疫療法は「サイトカイン療法」と「免疫チェックポイント阻害薬」の大きく2種類あります。

免疫とは生体にもともと備わっている「自分でないものを攻撃する仕組み」であり、その免疫を担う免疫細胞から分泌されるタンパク質の総称をサイトカインといいます。サイトカインには、免疫細胞を活性化させ、がんを攻撃する力をサポートする働きがあるとされています。そのサイトカインを製剤化したものを投与する治療法がサイトカイン療法です。

一方、免疫チェックポイント阻害薬は、腎臓がんにおいては2016年より転移のある腎がん、もしくは切除不能腎がんに対して保険適用となった新しい薬剤です。免疫は、正常に機能しているときには、がん細胞を敵とみなし排除するよう作用しますが、がん細胞はその作用にブレーキをかけてしまうことがわかっています。免疫チェックポイント阻害薬はそのブレーキを外して、免疫システムががんを攻撃できるようにする薬です。進行腎がんの治療として効果が期待されています。

まとめ

腎臓がんは長年、手術以外の有効な治療法に乏しいとされてきましたが、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬の登場によって進行した腎臓がんに対する治療の選択肢が増えてきており、予後の向上が期待されています。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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