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抜け毛、爪割れ、肌荒れ…外見に表れる「抗がん剤の副作用」にどう対処するか?

抗がん剤の副作用の中には外見に変化を及ぼすものも多く、それによって外出が億劫になったり、気持ちがふさいでしまったりするケースもあります。この記事では、こうした外見に表れる抗がん剤の副作用の概要と対処法を解説します。

目次

髪・爪・皮膚…外見への副作用はストレスを強める

コンプレックスや不快感を軽減するケアの工夫

免疫療法を併用した抗がん剤治療…副作用に違いは?

髪・爪・皮膚…外見への副作用はストレスを強める

抗がん剤によるさまざまな副作用のなかでも、外見に顕著に表れる代表例が「髪・爪・皮膚」への影響です。

抗がん剤のうち殺細胞性と呼ばれるものは、がん細胞が正常細胞に比べて短いサイクルで分裂を繰り返すことを利用し、細胞分裂のスピードが速い細胞をターゲットにしています。 しかし、髪や爪などは正常細胞であっても、比較的ターンオーバー(細胞の生まれ変わり)、つまり細胞分裂のスピードが速いために、薬の影響を受けて副作用が出やすくなってしまうのです。

よく知られているのは脱毛ですが、そのほかにも、髪であれば細くなる、パサつく、切れやすくなる、などがあり、爪は黒くなったりもろくなったりします。皮膚もかゆみや乾燥、黒くなるなどの副作用が出ることがあります。

もちろん、これらの出方には個人差があり、また、使われる抗がん剤の種類によっても変わってきます。

なお、皮膚への副作用は抗がん剤だけでなく、放射線治療によっても表れることがあります。代表的なものに赤みや乾燥、かゆみやひりつき、ごわつきなどがあります。

健康な人であっても、顔色が悪い日や何らかの原因で皮膚トラブルが生じたりしているときは憂鬱になるものです。抗がん剤のために起こる外見の変化は、「人にどう思われるのだろうか」といった不安も重なり、ストレスを強めてしまいます。それが嫌で家に閉じこもってしまうと、さらに気分が落ち込み、ストレスがますます強くなるといった悪循環にも陥りかねません。

コンプレックスや不快感を軽減するケアの工夫

近年は、こうした抗がん剤の副作用による外見の変化に対しても理解が深まり、脱毛に対するウイッグもバリエーションが増えたり、がん患者さんのためのメイク教室が開かれたりといった対策がとられるようになってきました。

出かける予定がない、人と会う予定がないという人でも、しっかりと「装う」ことで気持ちが上向くことは一般に知られていますので、利用してみるとよいでしょう。

ただし、どんなに外見をきれいにしたとしても、かゆみやひりつきなどの不快感があるとやはり気が滅入ってしまいます。

こうした症状は主に乾燥から起こっていることが多く、スキンクリームをこまめに塗るなど保湿重視のケアをすることが1つの対策になります。

保湿剤は何でもよいのですが、ピリピリとした刺激になるものは避けましょう。皮膚が敏感になっていて、いつも使っているものが合わないとか、何を使っても刺激になる、といった場合は、皮膚表面にとどまり保湿するワセリンを利用する手もあります。調剤薬局に相談すれば適切なアドバイスが受けられるでしょう。

爪も皮膚の一部ですので、顔や手と同じように保湿剤を塗るとうるおいが補充されます。また、爪が割れる、すじが入るといった悩みには、ネイルのトップコートを塗ると補強されます。透明なので目立つこともありません。

ヘアケアは、ノンシリコンの低刺激性のものを選ぶと、髪の傷みを軽減することが可能です。ただし、ノンシリコンは個人差があるものの、パサつきやすさを感じる人もいるので、その場合は乾かしたあとにヘアオイルで保湿するとよいでしょう。

免疫療法を併用した抗がん剤治療…副作用に違いは?

当院の患者さんを見ていると、抗がん剤治療中でも免疫療法を同時期に受けている人の場合、そうでない人に比べ、髪や爪、皮膚への副作用の出方が強くないように見えます。不快感について本人に聞いても、「思ったほど強くない」「さほど気にならない」といった答えが多く返ってきます。

特に、免疫療法と同時にビタミンCの点滴を受けている人のなかには、髪につやが出たとか、白髪が減ったような気がするなどという人もいます。

ビタミンC点滴とは、高濃度のビタミンCを1時間程度かけてゆっくりと血中に点滴していく治療です。

ビタミンCはもともと抗酸化物質なので、その抗酸化作用で体内の酸化物質を無害化するといわれています。また、白血球の働きを強化し免疫力を底上げする効果が期待されています。

髪や爪、皮膚に限らず、抗がん剤による副作用全般に対し、免疫療法を併用していると比較的症状が緩やかであることが、当院の患者さんの様子からうかがわれます。科学的に証明されてはいないものの、免疫療法により免疫力がサポートされることで、こうした外見に対する副作用にも良い影響がもたらされていることが推察されます。

まとめ

抗がん剤の副作用による外見の変化に対しては、メイクやウイッグなどでカバー可能です。また、主に乾燥により、かさつきやひび割れなどの不快な症状が出やすくなるので、保湿を重視したケアがおすすめです。免疫療法を受けている患者さんは、こうした抗がん剤の副作用が出にくい傾向があるようです。

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