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前向きな気持ちになると免疫力は向上する…がん治療の効果を高めるメンタル管理術

がん治療中は、体の痛みや不快感との直面に加え、先行きへの不安から、メンタル面も不調に陥りがちです。こうした状態は免疫に対してもよくありません。この記事では、免疫力を高めることにもつながる気分転換法や、気持ちを明るく保つ工夫などについて解説します。

目次

治療がひと段落した人に起こりやすい「荷おろし症候群」

苦痛、怒り、不安…治療中のネガティブ感情とどう向きあうか?

何か打ち込めるものを持ち、1日1回は外に出る

治療がひと段落した人に起こりやすい「荷おろし症候群」

病気になると、それがどんな病気であっても、不安やいらだち、悲しみなど、人はネガティブな感情にとらわれやすくなるものです。なかでもがんは、治療が長期にわたることもあり、抗がん剤の副作用もあいまって、メンタル面に不調をきたすケースが数多く見られます。

心と体の状態は互いに影響しあうため、気持ちが沈んでいると体のほうでも痛みや不快感などの症状を自覚することがよくあります。頭痛やめまい、耳鳴り、だるさ、肩こりや腰痛、関節痛など、その日の気分によって不調が出ることもあれば、出ないこともあります。

かといって症状が出ている部位を検査しても特に異常がみつからない、そんな症状の総称を「不定愁訴」といいます。がん患者さんは、治療中や治療後、こうした不定愁訴に悩まされがちです。

特に抗がん剤治療がひと段落して経過観察の時期に入ると、それまでの緊張が解けるとともに「何もしなくていいのだろうか?」といった焦りを感じる人も多く、気分が不安定になりがちです。

こうした、ふっと気が抜けたときに起こる心の不調を「荷おろし症候群」と呼ぶことがあります。当院の経験では、がんのなかでも経過観察を要する期間が長い、乳がんの患者さんに比較的多くみられます。

苦痛、怒り、不安…治療中のネガティブ感情とどう向き合うか?

抗がん剤による治療は副作用を伴うことが多く、身体的苦痛やさまざまな生活上の制限がかかるなかで、心理的にも苦痛を受けることがあります。また、「どうして私ががんになったのか?」「私ばかりがこんな苦しい目に遭って…」といった怒りの感情がわきあがることもありますし、「この先どうなるのだろう」といった不安がつきまとうことも少なくありません。いずれにしても、がん患者さんはさまざまな負の感情に支配されがちです。

このときに、1人でそれを抱え込んでしまうと、ますます悪いほうへと考えてしまい、ストレスをためてしまいます。ストレスがたまると免疫力の低下を招きますので、がん治療においてもこの状態はよくありません。

筆者は日ごろ、このように悩み込んでしまった患者さんから相談を受けていますが、こちらが何もアドバイスしなくても、「話しただけですっきりした。ありがとうございました」と言って帰られる方がたくさんいらっしゃいます。こうした経験から、できるだけ「人に話をする」ことが、ネガティブな気持ちを軽くする助けになると考えています。

相手は医師や看護師でなくても、身近な人でかまいません。1人で考え込んでいても、感情を変えることはできませんので、何かに行き詰まったら、できる限り話をすることをおすすめします。誰かにつらい気持ちを聞いてもらうだけでも、すっきりして落ち着きを取り戻し、治療をがんばろうと前向きになれるものです。

誰かに話をすることは、治療後の「荷おろし症候群」の改善にも役立ちます。昨今はがんの患者会も増えてきていますので、そうしたところに足を運ぶと、治療がひと段落したあとの過ごし方をはじめ、実生活に役立つ情報も得られますし、似た状況・環境の人がいます。気持ちを分かちあい、「独りではない」と感じられることも気持ちを前向きにする一助となるでしょう。

何か打ち込めるものを持ち、1日1回は外に出る

ネガティブな感情にとらわれず明るさを取り戻す方法は、ほかにもあります。

筆者が患者さんによくおすすめしているのが「何か打ち込めるものを持つこと」です。趣味でも、昔好きだったことでも何でもかまいません。時間を忘れるほど没頭できることがあれば、それを成し遂げることに意識が集中することで、がんにまつわるつらさや不安を軽くすることが可能です。完全に消し去ることはできないとしても、自分の中での“比重”が小さくなるので、気持ちが楽になってくるのです。

また、1日1回は外へ出ることもおすすめしています。家の中でじっとしていると、考え事ばかりしてしまい、ネガティブな感情を増幅させやすくなります。外の空気を吸って日の光を浴びるだけでもよい気分転換になり、いやな気持ちがすっと消えていくものです。

当院の患者さんのなかには、自治体で運営している趣味のサークルに通うようになってから気分も体調も上向いてきた、という人もいます。打ち込めるものがあり、かつ、外にも出られるので一石二鳥といえるでしょう。

「楽しみ」や「目標」をつくることも助けになります。例えば、春にお花見をするのが楽しみだとか、孫の入学式に元気な姿を見せたいといったイベントがそうです。何年も先のことではなく、季節ごとの行事など、比較的近い将来のイベントをこまめに設定していくほうが、張り合いも出ます。もちろんもっと目先の、1週間後に友達と会うとか、どこかに出かけるとか、そういった身近なことでもかまいません。それを楽しみにしていて、そのことを考えるとウキウキしてくるようなこと、「これがあるから頑張れる」といった楽しみや目標を見つけると、気持ちも上向いてきます。

明るく前向きな気持ちでいると、自律神経のバランスも保たれやすくなるので、免疫力の活性にも良い影響をもたらします。がん治療の効果を高めるためにも、ネガティブな感情によるストレスを避けて、免疫力の維持向上を実現しましょう。

まとめ

治療がひと段落してふっと気が抜けたときに、ネガティブな感情が出やすくなります。1人で抱え込まず、人に話すだけでも気持ちが軽くなります。何か打ち込めることや、先々の楽しみ、目標を持つことで、前向きな気持ちをキープすることができ、免疫力の向上にもつながります。

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