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最新治療技術と、実績十分な標準治療はどっちを選ぶべき?

がん治療においては2018年にオプジーボがノーベル賞を受賞するなど、新しい技術が生まれていることはご存知かもしれません。ただ、ニュースにならない分野でも、日々治療技術は発達を続けています。がんと診断されてから医師と治療方法について相談して、はじめて知ることも多いでしょう。自分に関係する治療について調べるとさまざまな情報が溢れていて戸惑うこともあるかもしれません。今回は、腹腔鏡手術を例に挙げて、最新の治療方法を選択することについて解説します。

目次

新しい治療技術。選択を迫られるケースも

最新治療を選ぶリスクとメリット

医師の専門分野と相談。治療方針の選択に大切なこと

まとめ

新しい治療技術。選択を迫られるケースも

がんの治療では、医学的根拠のある、手術・抗がん剤・放射線治療といった標準療法が、医療ガイドラインに沿って医師から勧められるわけですが、近年ではこの標準療法の中でも選択肢が増えてきており、患者さんが選択を迫られるケースもあるようです。

例えば大腸がんにおける腹腔鏡手術です。傷が小さくすみ、痛みが少なく回復が早いことから現在では腹腔鏡手術が勧められることが多くなっています。腹腔鏡手術では、お腹に小さな穴を数ヵ所空けて、そこからカメラや器具を挿入して手術を行います。元々は良性疾患の手術に使われていましたが、がんの手術にも利用されるようになりました。大腸がんや胃がん、食道がん、肝臓がんの治療に採用され、大腸がんでは従来の開腹手術よりも多く選択されるようになり、全国的に症例数が増加しています。

しかし腹腔鏡手術にもデメリットがあります。開腹手術に比べて手術の技術が難しく、合併症の可能性が高まる点などです。ある施設では、難易度の高い肝胆膵領域の手術を腹腔鏡手術で行い、多数の患者さんが合併症で死亡したという報道がされたことがありました。このようなことから腹腔鏡手術を選択することに不安を感じる患者さんもいます。

最新治療を選ぶリスクとメリット

病院で主治医が勧める治療方法は、あくまで標準療法がベースです。臨床が繰り返され、医学的な根拠のもと、最適と考えられる治療方法が提示されるわけです。ただその中でも、近年、患者さん側で選択できる治療方法が増えてきています。前述の大腸がんにおける「開腹手術か腹腔鏡手術か」もそのひとつです。

最新の治療は、今までの治療方法では実現できなかった課題をクリアできる画期的な方法であることがほとんどです。患者さんの体への負担が小さい、従来は難しかった腫瘍を取り除けるなど、享受できるメリットは少なくありません。ただしデメリットとしては、従来の治療方法と比べると症例が少ないということです。腹腔鏡手術で複数の方が亡くなった事例でも、難易度の高い部位の手術において手術経験と知識の不足が原因と考えられます。トラブルが起こった際のルールが不十分である可能性も考えられます。

腹腔鏡手術など、手術を行うのに特殊なテクニックを必要とする治療方法もありますので、できるだけ多くの手術を経験している専門施設で受けることをお勧めします。過去の手術件数について聞いてみましょう。

最新治療は、専門に行っている医師に頼むことも大切

機器が進歩したとしても、最終的には人の手によって行われる手術では、医師によって成果が異なるようです。スペインの大学病院で、大腸の部分切除後に自動縫合機を使って腸をつなぐ「ダブルステープリング法」という手術の調査が行われました。(Surgery 2017;162:1006-1016)

この手術の合併症の一つに縫合不全というのがあり、腸がしっかりと縫合できていないことで炎症が起こったり膿が溜まってしまう可能性があります。大腸がん患者800人に対して7人の外科医がこの手術を担当したところ、医師によって縫合不全が起こる確率に差があることがわかりました。

ある医師は縫合不全が1.2%(85人中1人)だったのに対して、ある医師では縫合不全が15.7%(51人中8人)も発生していたのです。ダブルステープリング法は機器を使って腸をつなぐ手術なので、誰がやっても結果に差が出ることは無いと思われていましたが、外科医によって明らかにリスクが異なっていたのです。

ここで、合併症の少ない外科医に共通していた点が、「外科医としての経験」でした。ある分野を専門に手術を行っている医師の方が、圧倒的に手術成績が良いということがわかったのです。

最新の機器が導入されていたとしても、その分野に精通している医師が担当しなければリスクが高まる可能性があります。治療方法と合わせて、「誰」が担当して治療を進めていくのかについても気にする必要があります。

まとめ

新しい治療技術が医療現場に次々と登場していることで、私たちが治療を受ける際に大きな恩恵を受けることができています。ただしどのような技術であっても、導入してから定着するまでには時間がかかります。主治医から複数の治療方法の選択を提案されたときには、その治療方法が現在どのくらいの実績があり、またどのようなリスクがあるのか説明を受け、さまざまな可能性を理解したうえで決断するようにしてください。

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