050-3540-6394(池袋クリニック)受付時間:月曜~木曜・土曜 9:30~18:00(日祝除く)

がんを知る

Cancer

悪性リンパ腫|体のあらゆる臓器に発生、治療は化学療法と放射線療法が基本

悪性リンパ腫は、血液細胞に由来するがんで白血球の1種であるリンパ球ががん化したものです。リンパ球は全身のリンパ節にあるため、体のあらゆる臓器に発生する可能性があります。発症の原因については一部のリンパ腫でウイルス感染が大きなリスクのひとつであると考えられていますが、まだわからないことも多く研究の途上にあります。症状もリンパの腫れやしこり、むくみ、発熱、体重の減少など多岐にわたるのが特徴です。

医療法人輝鳳会 理事長 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

悪性リンパ腫とはどんな病気か

悪性リンパ腫の原因、自覚症状は?

悪性リンパ腫の検査と治療

悪性リンパ腫とはどんな病気か

悪性リンパ腫はよく「血液のがん」と呼ばれますが、正確には、白血球の中のリンパ球ががん化した疾患といえます。リンパ球とは、細菌やウイルスなど病原体を排除するなどの機能をつかさどる、免疫システムを担っています。

おもにリンパ節や、脾臓・扁桃腺などのリンパ組織に発生しますが、リンパ系組織は全身にあるため、骨髄や甲状腺、胃、腸管、皮膚、脳など体のあらゆる臓器に発生する可能性があります。

悪性リンパ腫は、組織の特徴から80ほどの分類があるとされますが、大別するとホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類となります。

ホジキンリンパ腫

国内では悪性リンパ腫のうちの約10%を占め、非ホジキンリンパ腫に比べ、治癒する可能性の高いがんです(約65~80%)。近年は抗がん剤治療や造血幹細胞移植治療の発展におより、悪性度が高くても治癒が期待できるようになってきました。

なお、ホジキンリンパ腫は、さらに古典的ホジキンリンパ腫、および結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に分けられます。

非ホジキンリンパ腫

国内では悪性リンパ腫のうちの約90%を占めています。ホジキンリンパ腫と比べ、全身に広がる可能性が高いがんです。

非ホジキンリンパ腫は、リンパ球の種類により、さらにB細胞性、T細胞性、NK細胞性などに分類されます。また、これとは別に臨床分類といって、無治療の場合の進行速度によっても分類されます。

  • 低悪性度:濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫 など。年単位で進行
  • 中悪性度:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫など。月単位で進行
  • 高悪性度:リンパ芽球性リンパ腫、成人T細胞白血病・リンパ腫・パーキットリンパ腫など。週単位で進行
(参考:病状の進行速度による非ホジキンリンパ腫の分類)

悪性リンパ腫の原因、自覚症状は?

悪性リンパ腫のはっきりとした原因は明らかになっていません。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫で異なるとされていますが、まだわかっていないことも多く、研究の途上にあります。

ホジキンリンパ腫

ホジキンリンパ腫の原因には遺伝的な要因とウイルス感染(EBV:Epstein-Barr Virusの感染)が考えられています。EBVに感染した人がホジキンリンパ腫にかかるリスクは、感染していない人の4倍以上高いとされています。 なお、国内におけるホジキンリンパ腫患者の約半数が、EBVの感染者であるとみられています。

その他のリスク要因として除草剤などの薬剤や、木材粉じんなどがあると考えられていますが明らかになっていません。

非ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫の原因には免疫不全、細菌やウイルス感染、農薬など化学物質に長期間さらされること、動物性たんぱく質の摂取や脂肪の摂取、遺伝的な要因などが考えられていますが、明らかになっていません。

症状は、多くの場合比較的初期のうちから、首や腋の下、足の付け根などリンパ節の多いところに、通常、痛みのないしこり、腫れが出現します。また、全身症状として、発熱や体重の減少、寝汗が寝具の取り替えを要するほどのひどい寝汗がみられることがあります。この3つは、「B症状」と呼ばれる悪性リンパ腫に特徴的な症状です。そのほかに、かゆみや発疹などが現れることもあります。

これらに加え、臓器にリンパ腫が広がることでさまざまな症状が出現します。例えば腹部のリンパ節にしこりが見られた場合には腹部より下のむくみや、排尿障害があらわれることがありますし、胸部のリンパ節の場合には、呼吸困難や気道閉塞、咳が出やすくなるなど、肺や気道の症状があらわれます。

肝臓の場合には黄疸や腹水など、骨の場合は痛みなどが出現します。

悪性リンパ腫の検査と治療

悪性リンパ腫が疑われる場合は、触診、血液検査、造影CT検査などを行います。最終的に悪性リンパ腫の診断と病型分類を確定するためには、生検(リンパ節や腫瘍の一部を切り取って顕微鏡で観察すること)が必要です。

さらに、細胞表面抗原マーカー検査、染色体検査、遺伝子検査といった検査も、正確な組織型を知るために重要となってきます。

悪性リンパ腫は全身のどの部位にも発症する可能性があるため、治療を始める前にはどの程度まで病気が広がっているかを調べるため、超音波検査、MRI検査、消化管内視鏡検査なども必要に応じて行いますが、ステージングと呼ばれる病期(ステージ)決定のためにはリンパ腫の広がりと悪性度を評価できるPET/CT検査は必須です。

なお、病気の勢いや悪性度を調べる検査には、血清LDH(乳酸脱水粗酵素)、CRP(C反応性タンパク)、可溶性インターロイキン2受容体といったものがあります。特にLDHは、リンパ球が増殖したときと、悪性度が高い悪性リンパ腫では数値が上昇するため、治療を急ぐ方が良いかなどの判断をする上でも大切な検査といえます。

最終的な治療方針は、これらの検査による病理診断と、病気の広がりや進行度による病期分類(ステージ分類)にもとづき、がんの部位や大きさ、また患者さんの全身状態や年齢なども考慮のうえ検討されます。

[図表]悪性リンパ腫の病期分類(Lugano分類,2014)
病期病変部位節外病変の状態
限局期I期1つのリンパ節病変。または隣接するリンパ節病変の集合リンパ節病変を伴わない単独の外臓器の病変
Ⅱ期横隔膜の同側にある2つ以上のリンパ節病変の集合リンパ節病変の進展による、限局性かつリンパ節病変と連続性のある節外臓器の病変を伴うⅠ期またはⅡ期
Ⅱ期bulkybulky(大きい)病変を伴うⅡ期該当なし
進行期Ⅲ期横隔膜の両側にある複数のリンパ節病変、または脾臓病変を伴う横隔膜の上側の複数のリンパ節病変該当なし
Ⅳ期リンパ節病変に加えて、それとは非連続性のリンパ外臓器の病変該当なし
各病期はB症状の有無により、BまたはAに分ける
参考:造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版

悪性リンパ腫の治療は、化学療法と放射線治療が中心です。患者さんの全身状態、病理組織診断、悪性度および臨床病期(ステージ)に基づいて治療方針を決定します。

近年、がん化した細胞のタンパク質や増殖に関与する遺伝子などをピンポイントで攻撃する分子標的薬が複数、登場しており、従来の化学療法や放射線治療との組み合わせで治療効果を高めることが可能になっています。どの分子標的薬が効くタイプなのかを見極めることが、治療効果を高める上で重要になっています。

なお、悪性リンパ腫をはじめとする血液のがんは、一般的に他のがんと比べ、化学療法や放射線療法が効きやすいとされていますが、がんのタイプによっては、これだけでは治癒が難しいケースもあります。

その場合、完治を目指す治療法として「造血幹細胞移植」が検討されることもあります。文字通り、血液の“もと”となる血液細胞をつくりだすのが造血幹細胞です。

幹細胞は通常、骨髄に存在します。患者さん自身の造血幹細胞を用いる場合は、「自家造血幹細胞移植」といいます。一方、ドナーより提供された造血幹細胞を用いる場合は「同種造血幹細胞移植」といいます。いずれも、大量で強力な抗がん剤投与や全身放射線治療などの前処置を行った後、点滴で移植されます。

移植された幹細胞は、患者さんの骨髄に生着し、そこで血液細胞が造られるようになります。移植前処置によって患者さんの造血・免疫機能はダメージを受けていますが、移植後に時間をかけ回復していきます。

まとめ

悪性リンパ腫の治療は化学療法と放射線療法が基本となりますが、それだけでは治癒が難しい場合、完治を目指す治療として造血幹細胞移植が検討される場合もあります。また、がんやがんの増殖に関わる特定のタンパク質や遺伝子を狙いうちする分子標的薬も登場してきており、抗がん剤や放射線との組み合わせで治療効果を高めることが可能になってきています。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

関連記事

日本人に最も多い“血液のがん”「悪性リンパ腫」

「手術でがんは取りきれた」なのに抗がん剤治療や放射線治療をする必要はあるのか

「生活の質」を意識した免疫細胞療法と標準治療の併用

がんの標準治療に限界を感じた医師が「免疫療法」に見出した大いなる可能性

不治の病ではない! あの五輪選手も戦う白血病治療の今

pagetop