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10万人に一人の希少がん「悪性黒色腫(メラノーマ)」

ほくろとの見分けが難しい悪性黒色腫。特徴を把握すれば自分や家族により早期発見することも可能です。また、薬物療法に関して選択肢の幅が広がっています。悪性黒色腫の特徴と治療法を解説します。

目次

ほくろのように黒いのが特徴だが、稀に黒くないケースも

早期発見につながるABCDEルール

がんの発生した部位から1~2cmの広範囲を手術で取り去る

まとめ

ほくろのように黒いのが特徴だが、稀に黒くないケースも

皮膚がんは様々な種類がありますが、代表的なものとして、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がん、乳房外パジェット病があげられます。ここでは悪性黒色腫(メラノーマ)に絞って、ご紹介します。

悪性黒色腫は、表皮にある色素細胞(メラノサイト)から生じるがんで、メラノーマともいわれます。悪性度の高い皮膚がんとして知られ、「ほくろのがん」ともいわれます。黒色腫と呼ばれる所以は、がん細胞がメラニン色素を多量に産生し、黒色をしたほくろ状のものになるからです。しかし、メラニン色素の産生の具合により、褐色や茶色を呈するものもあり、まれにメラニン色素をほとんど産生せず赤いしこりのような黒くない腫瘍もあります。

通常のほくろは、色素性母斑ないし母斑細胞性母斑と呼ばれ、良性のほくろ細胞(母斑細胞)の集合です。こちらもメラニン色素を有するため、褐色や茶色、黒色をしています。大きさは直径5mm以下がほとんどですが、もしそれ以上の大きさでさらに大きくなっていく兆候がある場合は、悪性黒色腫の可能性も考えられます。

悪性黒色腫(メラノーマ)

早期発見につながるABCDEルール

皮膚は体の表面のため、自分や家族が見たり、触れたりできる場所であれば、早期に気づくことが可能です。以下に説明する、悪性黒色腫早期症状の「ABCDEルール」を参考にしてください。形や色、大きさなどを一定基準に照らし、通常のほくろと識別します。

Asymmetry:左右不対称。形が左右で不対称になっている。
Border irregularity:辺縁不整。輪郭がギザギザ、あるいは色のにじみ出しがある。
Color:色調不均一。色ムラがある。
Diameter:直径6mm以上。大きさが直径6mm以上ある。
Enlargement(Elevation):急激な増大。拡大している、色・形・症状に変化が見られる。

悪性黒色腫(メラノーマ)

ABCDEルールを参考にし、疑われるほくろがあった場合は、皮膚科専門医を受診するようにしましょう。

悪性黒色腫は以下の四病型に大きく分類されます。人種、年齢、発生部位、症状などが異なります。

(1)末端黒子型

足のうらや手のひら、手足の爪などに発生しやすく、日本人に最も多いタイプです。全体の約30%にあたります。当初は褐色・黒褐色のシミがあらわれ、次第に色が濃くなったり潰瘍ができたりします。爪の場合は、黒褐色の縦のスジができ、次第に全体に黒褐色が広がり、爪が割れたり、爪周辺の皮膚に黒褐色のしみが表れたりします。

(2)表在拡大型

胸・腹・背中などの体幹部分や、手足の付け根に近い部位に発生しやすく、白色人種に多い病型ですが、近年は日本人でも肌の色が白い人に発生が多く見られます。わずかに盛り上がったシミ状のものが見られ、輪郭は不整で、色調はまだら状です。

(3)結節型

特に発生しやすい部位はなく、体中どこにでも発生します。色調は全体的に濃黒で、濃淡が混ざるようになります。

(4)悪性黒子型

顔面、首、手の甲など、日光に照らされることが多い露出した部分に発生することが多く、高齢者によく見られます。不規則な形の褐色から黒褐色のしみ(色素斑)が、徐々に拡大していきます。時間が経つと、硬結や腫瘤が見られるようになります。

「厚生労働省平成26年患者調査」のデータでは、日本でのメラノーマの患者数は3,000人で、10万人あたり1人とされています。男女の差はなく、高齢者に多いのが特徴です。日本では希少がんに分類されますが、オーストラリアでは10万人あたり35人、中でもクイーンズランド州に限ると70~80人という数字になっています。

このようなことから、疫学的に人種による差のあるのが特徴で、紫外線の強い地域に多いことから、白人種とメラノーマの間には紫外線の影響が指摘されています。ただ、日本人の場合は足のうらや手の甲、手足の爪など紫外線の影響が少ない部位に発生することから、紫外線の関与は少ないとされています。

がんの発生した部位から1~2cmの広範囲を手術で取り去る

悪性黒色腫の検査では、ダーモスコープというライトがついた拡大鏡を用いて、皮膚の状態を詳しく診察します。悪性黒色腫と良性のほくろや血豆などでは色素沈着の状態が異なることが分かっているので、悪性かどうかがよく分かります。これと合わせて、超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査、PET検査などが行われ判断します。

がんと診断されたら、がんの進行度合(ステージ)、体の状態などから治療方法を検討し、選択されます。がんの厚みのほかリンパ節や別の臓器への転移の有無を基準に病期は決まり、大きく五期に分かれます。悪性黒色腫は、抗がん剤や放射線治療は効果的ではありません。まずは手術により、腫瘍を残さず取り去ることが優先されます。

初期の手術では、がんの発生した部位を大きめに取り去る広範切除術が行われます。原発巣のみの切除では、がんが再びあらわれる可能性があるので、原発巣の縁から1~2cmほど離した周囲を切除します。手術による皮膚の傷が広く縫い寄せられない場合は、患者自身の皮膚の一部を移植する植皮手術が実施されます。

もしも病期が進んでいて、がん細胞が全身に転移しており、手術での根治が望めない場合は、抗がん剤などによる薬物療法が行われます。従来から細胞障害性抗がん剤が用いられてきましたが、それに加え、最近は免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬といった新薬が選択肢として考慮できるようになってきました。

まとめ

悪性黒色腫は、ほくろとの違いや特徴を把握すれば自分や家族により早期発見することも可能です。怪しいほくろや出来物に気づいたら早めに皮膚科の先生に相談しましょう。悪性黒色腫の治療法は、免疫チェックポイント阻害剤による治療など選択肢が増えています。医師とよく相談し取り入れるのもよいでしょう。また、再発に関しては自分で気づくことができます。皮膚の状態を絶えずチェックし、変化に気づいたらすぐに受診し、検査を受けましょう。

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