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リガンド、サイトカイン|がん免疫療法の基本用語

がんの免疫療法にはたくさんの、聞きなれない専門的な用語が出てきます。ここでは治療への理解を深めるため、特に知っておきたい言葉について解説します。今回は「リガンド」「サイトカイン」です。
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

リガンドとは

サイトカインとは

リガンドとは

コラム「MHC、HLA、TCRそしてTLR|がん免疫療法の基本用語」のなかでも説明しましたが、すべての細胞は受容体というセンサーを持っています。

銀行や役所に「窓口」があり、そこを通してさまざまな手続きが行われるように、細胞も受容体を通じて細胞外からの情報伝達物質を受け取ります。その情報にしたがって、細胞が酵素などのさまざまな物質をつくりだす、というわけです。

受容体は、細胞の表面にたくさん出ています。ただし、個々の受容体は1つの決まった物質しか受け取ることができません。例えば、Aという受容体はA´という物質しか受け取らず、B´がきても反応しないのです。カギ穴とカギの関係といっていいでしょう。

上の例えでいえばA´にあたる物質、つまり、ある受容体に結合する決まった物質のことを、リガンドと呼びます。

リガンドが受容体に結合すると、化学的な変化を起こします。多くの場合、受容体がついている細胞の細胞膜や、細胞内のタンパク質などに影響を及ぼし、さまざまな物質をつくり出します。一例として、異物を排除するよう働く炎症性サイトカインがあります。がんにおいては、炎症性サイトカインはがん細胞を退治するために炎症を起こすよう、細胞に働きかける役割を持つ物質です。

なお、リガンドは、受容体に結合したあと、その受容体が本来持っている機能を強めるもの(アゴニスト)と、逆に弱めるもの(アンタゴニスト)に大別されます。例えば医薬品で、カルシウム拮抗薬など、「拮抗」とつくものは、このアンタゴニストの仕組みをもつといえます。

サイトカインとは

サイトカインの「サイト」はギリシャ語で「細胞」を意味するcyteを由来とします。一方、「カイン」は「作動」または「作動物質」の意味を持ちます。一般的に、「情報伝達物質」といわれているタンパク質の総称で、多種多様なサイトカインが確認されています。例えるなら、細胞間でコミュニケーションをとるための、伝令のような存在といえるでしょう。

サイトカインのなかでも、とくにがんにおいてよく知られているのは「炎症性サイトカイン」と呼ばれるものです。以前のコラムで「自然免疫と獲得免疫」の説明をしましたが、いずれの場合も、敵となるがん細胞を倒すために、この炎症性サイトカインが活発になることで「武器」を量産します。それには、がん細胞をきちんと「敵」であると免疫細胞が認識するプロセスが必要です。もし、がん細胞が身を隠したりごまかしたりして、免疫細胞の監視の目を潜り抜けたら、炎症性サイトカインはつくられない、ということになってしまいます。

がんに関して、代表的なサイトカインにはリンパ球の活性化や増殖に関わるIL-2、IL-4などのインターロイキンや、ウイルスや細胞の増殖を抑えるIFN-α、IFN-γなどのインターフェロン、腫瘍壊死因子と呼ばれるTNF-αなどがあります。TNF‐αはがんだけでなく、関節リウマチやメタボリックシンドロームなど、他の疾患でも分泌され、症状や病態を悪化させるよう働くことが知られています。

なお、感染症が重症化するときに起こる「サイトカインストーム」とは、この炎症性サイトカインが急激かつ過剰につくられるために、体内が病原体との“激戦地”になり体にダメージが及ぶ現象を指します。サイトカインストームにより、ときには致死的な状態になることもあります。

まとめ

私たちをつくっている細胞には、細胞外からの情報を中に伝える受容体というセンサーがたくさんあります。ひとつの受容体が受け取れる物質はひとつだけであり、それをリガンドと呼んでいます。一方、細胞間で情報をやりとりするときの、伝達の役割を持つのがサイトカインです。がんにおいては特に炎症性サイトカインと呼ばれる、がん細胞を排除するための炎症を起こすように働きかけるTNF‐αやインターロイキンがよく知られています。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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