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ケモカイン、脂質メディエーター|がん免疫療法の基本用語

がんの免疫療法にはたくさんの、聞きなれない専門的な用語が出てきます。ここでは治療への理解を深めるため、特に知っておきたい言葉について解説します。今回は「ケモカイン」「脂質メディエーター」です。

医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長 甲陽平

目次

ケモカインとは

脂質メディエーターとは

ケモカインとは

前回のコラムで「サイトカイン」について解説しました。「情報伝達物質」といわれているタンパク質の総称であり、とりわけがん免疫においてよく知られているのは「炎症性サイトカイン」で、これが活発になることでがん細胞を退治する「武器」がたくさんつくられるようになる、という内容でした。

この炎症性サイトカインの中で、白血球(好中球、単球、マクロファージなど)を敵がいるところに集める走化性サイトカインを「ケモカイン」と呼びます。このケモカインの一つに「IL-8(別名CXCL8)」がありますが、このIL-8は免疫細胞だけでなく、血管内皮細胞や線維芽細胞など種々の細胞からも分泌されます。

そして、IL-8を含むケモカインが、がんにおいては、免疫を抑制したり、血管新生(がんが栄養を取り込むためにつくり出すイレギュラーな血管)を進め、転移を促進する因子になっていることがわかっています。

こちらも、炎症性サイトカインと同様に、敵を認識したマクロファージなどの免疫細胞から分泌される連絡物質ですが、がんにおいては血管新生(がんが栄養を取り込むためにつくり出すイレギュラーな血管)を進め、転移を促進する因子になるものがあることがわかっています。

そのため、ケモカインの分泌を抑えたり、がんがケモカインを受け取らないようにしたり(受容体の制御)する作用が、創薬の分野では重要なテーマのひとつとして研究対象になっています。

脂質メディエーターとは

情報伝達物質にはもうひとつ、「脂質メディエーター」というものが知られています。脂質メディエーターは、食物に含まれる脂肪酸やコレステロールや細胞膜の成分であるリン脂質から作られます。

代表的なものに、プロスタグランジン、ロイコトリエンなどがありますが、これらは脂肪酸由来です。いずれも痛みや炎症に関わる物質で、名前を聞いたことがある人もいるかもしれません。主に血管内皮細胞に働きかけ、血管を広げる作用があります。

この脂質メディエーターのなかにも、がんに対する免疫を低下させ、がんを促進するという報告が肝がんなどの研究でなされています。今後、がん発症に対する脂質メディエーターの役割や、予防法の開発などの研究につながるものと考えられます。

まとめ

細胞間で情報をやりとりする際の主な伝達物質には、サイトカインのほかケモカイン、脂質メディエーターがあります。これらのなかにはがんの発症や転移に関係しているものがあり、治療や予防の開発を目的とした研究の対象になっています。

【甲 陽平(かぶと・ようへい)】
医療法人輝鳳会 池袋クリニック 院長
1997年、京都府立医科大学医学部卒業。2010年、池袋がんクリニック(現 池袋クリニック)開院。
「あきらめないがん治療」をテーマに、種々の免疫細胞療法を主軸とし、その他の最先端のがん治療も取り入れた複合免疫治療を行う。
池袋クリニック、新大阪クリニックの2院において、標準治療では治療が難しい患者に対して、高活性化NK細胞療法を中心にした治療を行い、その実績は5,000例を超える。

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